生活習慣病に加え、コロナうつ」という言葉に象徴されるようにコロナ禍ではストレスや不安も増大し、メンタルの病気を抱え、薬を服用する人も増えている。
しかし、医師たちは薬に頼ることの危険性を指摘する。
「新型コロナでうつ病や統合失調症の患者が増えていますが、“薬をのんでも改善しない”という患者は本当に多い。うつ病ではセロトニンという神経伝達物質を増やす『SSRI』という成分が配合された薬が処方されますが、効果を実感できたという人は少なく、むしろ吐き気やめまい、眠気、便秘などの副作用に悩まされ、それらを抑えるためにまた薬が増えていくことすらあります。こうなれば、完全な悪循環です」(高橋さん)
それゆえ高橋さんの病院では、むしろ減薬しているという。谷本さんも声をそろえる。
「私が服用を懸念するのは不眠症や不安症で処方されやすい『ベンゾジアゼピン受容体作動薬』です。依存性が強いのが問題で、常用量を守っていても、離脱症状が出る危険性がある。安易に服用すべきではない」
強い薬であるにもかかわらず、安易に使用される例はほかにもある。水上さんは「免疫抑制剤」と「抗がん剤」が持つ体への影響を指摘する。
「リウマチや潰瘍性大腸炎など、自己免疫疾患に使用される免疫抑制剤は文字どおり免疫を落とす薬であり、感染などに注意が必要です。抗がん剤も副作用の強さが気がかりです。もちろん、完治が見込める場合は使用すべきだと思いますが、がんが進行し、延命のために“やむを得ず使う”のは避けたい。脱毛をはじめ副作用が多岐にわたり、しかもほかの薬に比べて死亡率が高い」(水上さん)
ドラッグストアやネットショップに加え、オンライン診療も普及し、薬がより簡単に手に入るようになったいまこそ、医師のこうした見解を参考に、おくすり手帳を見直してほしい。あなたを救ってくれるのは、一錠の薬以上に、“正しい情報”かもしれない。
※女性セブン2021年7月15日号