タイトな試合日程に関係者からも「不公平」との声が上がっている(写真/Getty Images)
2019年は第2戦のスケートカナダ(10月26~28日)でスタートを切ったが、2試合目となる第6戦のNHK杯(札幌・11月22~24日)からイタリア・トリノで開催されたGPファイナル(12月6~8日)までの間隔はわずか11日。(※日程はすべて日本時間で記載)羽生選手はSPでもフリーでもミスが目立ち、ネイサン選手に大差をつけられての2位に甘んじた。
「体力面に加え、現在足に不安を抱えている羽生選手にとっては、GPファイナルまでにもう少し休める期間がある方がいい。第1戦、第2戦で早々と出場を決め、じっくり調整してGPファイナルに臨めるネイサン選手の方が有利なのはたしかでしょう」(前出・スケート関係者)
ショートプログラムの演目は「秘密」
一方で、「羽生選手自身は少し違う考え方をしているのではないか」との見方を示す専門家もいる。スポーツライターの折山淑美さんはこう指摘する。
「新型コロナの影響で、羽生選手は今シーズンも昨シーズン同様、カナダではなく日本を拠点にし、リモートを使ってブライアン・オーサーコーチと連絡をとりながら、ひとりで練習するつもりでしょう。
移動の負担を考えるとロシア杯への出場よりも中国杯への出場の方がよかったのでしょうが、中国杯とNHK杯は中4日しかない。その点、ソチなら6時間の時差だけで済み、試合間隔も少しあけられる。厳しい日程なのはたしかですが、ファイナルも大阪での開催なのでベターな選択として、プラスに受け止めることもできます」
前出・木戸さんもこう話す。
「体力的にはつらいです。でも、羽生選手はそれに合わせてコンディショニングをすればいいという意識を持っていると思います。さらにネイサン選手のように間があくと、ペースが乱れるという見方もあります。それぞれ試合のスケジュールに合わせた調整をしていかなければいけません」
GPファイナルの後には北京五輪が待っている。羽生選手は出場か欠場かを明言していないものの、気になるのが今シーズンの演目だ。フリーについては羽生選手自身が昨シーズンと同じ『天と地と』を継続する意向を示しているが、新プログラムの期待が高まるのがSPだ。
6月22日に刊行されたムックシリーズ『KISS&CRY』(東京ニュース通信社)のインタビュー記事で、新ショートプログラムの構想について聞かれ、羽生選手は《秘密です(笑)》と答えている。
「羽生選手は7月9〜11日まで神奈川のKOSE新横浜スケートセンターで開催される『ドリーム・オン・アイス』(DOI)に出場します。2014年にはSPの『バラード第一番』を、2015年にはフリーの『SEIMEI』を初披露しました。今回もDOIで新SPをお披露目するかもしれません。彼のことなので何か秘策を考えているでしょうね」(前出・スケート関係者)
羽生選手は『KISS&CRY』でこうも語っている。
《“羽生結弦にしか滑れない、表現できないもの”にしたいと思っています》
今シーズンの戦いが、幕を開ける。
※女性セブン2021年7月22日号
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