ビジネス

コロナ禍でもホテル開業ラッシュの京都 あえて「雅」にこだわらない施設も

ホテルが林立する京都駅前(筆者撮影)

ホテルが林立する京都駅前(筆者撮影)

 長引くコロナ禍で観光・宿泊業界は大打撃を受けているが、そんな中、ホテルの開業ラッシュに沸いているのが京都だ。いったいなぜなのか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、その背景と京都の最新ホテル事情について報告する。

 * * *
 過去を振り返れば、「足りない→作る→供給過剰」を繰り返してきたホテルで業界だが、インバウンド活況に沸いたのも、もはや一昔前のことのように感じられる。宿泊施設不足から一転、供給過剰が叫ばれるようになったのは、コロナ禍の少し前からだった。

 ターニングポイントは2018年の初めごろと認識している。まだまだ世にはホテルが足りないことがトピックとしてセンセーショナルに報道され、事実ホテルの新規開業も相次いでいた。

ビジホの値下げで窮地に立たされる簡易宿所

 筆者が初めて供給過多を指摘したのは2017年の終わりごろだったが、きっかけは京都で宿泊事業を手がける関係者からの情報だった。

 観光ニッポンの代表的都市にしてホテルトレンドが如実に表われる京都──。ある種、日本の観光スタンスがあらわになる具現都市といえるが、ここ数年の宿泊業界動向を予兆する動きも京都発が多かった。思い起こせば、あれほど高騰していたビジネスホテルの料金が「下がってきている」といち早く一報が届いたのも京都の宿泊事業者からだった。

 もっとも、宿泊業界の景況変化が素早く表れるのは簡易宿所(カプセルホテル・ホステルなど)だというのが分析に基づいた筆者の持論だ。事実、ビジネスホテル料金が下がってきているという声も、簡易宿所の事業者からだった。

 近年、宿泊業界における簡易宿所の存在感は、不足した一般ホテル(宿泊特化型ホテル)の供給を補完することで高まってきた。ある種業界の趨勢が反映されるカテゴリーの宿泊施設といえる。

 京都も含めた都市部で特に見られた1万円、1万5000円、2万円というようなビジネスホテル料金の高騰は、1万円以内の安価な予算しかない旅行者層にとってはビジネスホテルへ宿泊できないことになるわけで、簡易宿所へ白羽の矢が立つのは当然の成り行きだった。

 もちろん、簡易宿所は独自の文化を築いてきた業態であり、一般ホテルにはない魅力を求めるゲストもいるが、一般ホテルの料金下降は特に観光都市の簡易宿所にとって死活問題となった。京都においていち早く明暗が分かれたカテゴリーともいえるが、現に京都市街を歩くとクローズした施設も目立つ。

クローズした市街地中心部のキャビンホテル(筆者撮影)

クローズした市街地中心部のキャビンホテル(筆者撮影)

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン