ライフ

絵本作家・えがしらみちこ『トラとミケ』で感じた「本当に大切なもの」

第27話「梅天の候」

第27話「梅天の候」より、99才の坂本先生の言葉がしみる

 女性セブンで連載されているマンガ『トラとミケ』の単行本第3巻&LINEスタンプが発売された。さらに、この夏、アニメ化されTwitterで配信することも決定。ひそかに話題となっている『トラとミケ』について、絵本作家・えがしらみちこさんが、その魅力を語る。

 * * *
「自分にとっての幸せって何だろう?」と、よく考えることがあります。

「権威のある賞を受賞して“絵本界の○○”と呼ばれる」「絵本が○万冊売れる」「年商○千万円」

 どれも「わあ、すごい!」と憧れの気持ちはあるけれども、それを手にした途端、虚しさがやってきそうな気がする。受賞や数字というのはひとつの通過点や目安でしかなく、それにばかりとらわれてしまうと、大切な何かが見えなくなってしまうのではないかな、キラキラした何かを追いかけている時の方が、実は幸せなんじゃないかなと思うのです。

 では、砂山から砂金をのこしていくように、いらないものや余計なものを削いでいくと、最後にのこる本当に大切なものは何だろう?

 その答えの端っこが、この『トラとミケ』に描かれているような気がしたのでした。舞台は、名古屋の居酒屋。姉妹のおばあちゃん猫がきりもりし、お客さんとのふれあいが描かれています。

 小説家の夢を持つ若い猫、新しい土地に越してきたひとり親の猫。戦争で友人と死別した経験をもつ占い師、高校の先生だったおじいちゃん猫。集まる猫たちには、それぞれに夢や傷があったり、いままで歩いてきた人生があります。その猫たちが居酒屋で居合わせ、何気ない会話をし、たまにパンチのあるひとことを放ちます。

《どんな決断も時が経ち、振り返って見れば、全てが必然だったと思えるよ》
《幸せも不幸も気の持ちようじゃからな》
《僕は、支えてもらった分、いつか誰かの支えになれればいいなって思っています》

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン