国内

ワクチン接種、1回目を終えて「酒場」に復帰する人たちの本音

午後8時を過ぎて営業をする飲食店(イメージ、時事通信フォト)

午後8時を過ぎて営業をする飲食店(イメージ、時事通信フォト)

 7月12日に決勝を終え、PK戦でイタリアが優勝したサッカーEuro2020の試合会場では、マスクをしていない観客たちが、大声で試合に一喜一憂して楽しんでいた。ワクチン摂取率が高いために実現となったことを知り、ワクチンさえ打てれば辛抱だらけの生活から脱出できると思った日本の人も多いはずだ。ライターの森鷹久氏が、1回目のワクチン接種を終えて、やりたいことをやり始めた人たちについてレポートする。

 * * *
 渋谷や新宿、そして池袋など、緊急事態宣言下の繁華街で酒を飲み、大騒ぎする若者の姿をマスコミが連日報じている。だが、現実には若者以外の「酒飲み」も、続々居酒屋など酒の飲める飲食店に復帰している。

「一年以上、外で飲むことはありませんでした。でも、緊急事態宣言もこれで四度目ですよ? 慣れもあるだろうし、何より『もう打ってる』という安心感が、私をここに来させたんですよ」

 仕事終わりの生ビールを片手に、赤ら顔で筆者に力説したのは、都内の大手ゼネコン社員・富田雄一さん(仮名・30代)。

 富田さんは6月、会社の職域接種で1回目のワクチン摂取を終え、7月の下旬には2回目の摂取も控えている。そして、富田さん自身も、2回の接種を終えないとワクチンの効果が薄い、ということを当然知っている。にもかかわらず「もう打ってる」と安心してしまうのは、1回は接種したことが過信、コロナ対策はできているという思い込みになっているのかもしれないと漏らす。

「実際1回は打ってるから……という自信というか。外で酒を飲みたいという欲求を満たすための方便かもしれませんが、2回目を打っても本当は、即、外で飲めるというわけでもないし。それなら、もう今飲んじゃうか、みたいな」(富田さん)

 富田さんだけではない。自分と同じように1回目の接種を終えた同僚に加え、居酒屋で知り合った職域接種で1回目の接種を終えたという飲み仲間も、やはり夜の街を飲み歩いているといい、富田さんは「自重したり、考え直す機会もほとんどなくなった」と呟く。

「1回打ったからもう安心だ、ということではないのは分かっていますが、打ってない人と比べたら、そりゃ全然違うんじゃないですか?」

 都内の繁華街で居酒屋を営む佐伯卓郎さん(仮名・50代)は、妻が働く大手企業の職域接種で家族にもワクチン接種を受けられるチャンスがあり、1回目の接種を終えている。一歩進めたとホッとしていたのもつかの間、四度目の緊急事態宣言が決まった。またお客さんに窮屈な思いをさせるのかと思っていたところ、店を訪れていたワクチン接種済みの馴染み客から「ワクチン打ってる人にはお酒を出して」と言われた。それをきっかけに、ワクチンを1回でも打っている客限定で、緊急事態宣言下でも酒の提供を行っている。

「政府が金融機関に、酒を出している店とは取引をするな、なんて言っていたでしょう? あれで開き直りました。すぐに撤回して、今度は、ワクチン打ってる人には酒を出すことも検討して、と言い出した。店も業界も客も国民もみんな我慢の限界なんです。繁華街では、なし崩し的に酒を提供する店が拡大していますが、うちはワクチンを接種しているかどうか、これで判断します」(富田さん)

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン