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「それまでは自分中心だった」大谷翔平が震災で学んだ周囲への思いやり

あああ(写真/時事通信社)

世界中が大谷翔平に夢中(写真/時事通信フォト)

 東京五輪の開幕を直前に控えながら、それを遥かに上回る関心を集めている大谷翔平(27才)。今シーズンは前半戦だけで33本のホームランを放ち、日本人初となるメジャーリーグのホームラン王も夢ではなくなってきた。

 スケールの大きな活躍を続ける彼だが、その成長の過程では、思いも寄らぬ辛い経験も味わっている。リトルリーグとシニアリーグでの激しくもひたむきな日々を経て、2010年には憧れの菊池雄星投手の出身校である花巻東高校に進学。ここまで順調に野球街道を歩いていたが、高校1年生の3月11日、東日本大震災が発生し、岩手県の内陸地にある花巻市は大きな被害を被ったのだ。大谷を15才から取材してきたスポーツライターで『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』の著書もある佐々木亨さんはいう。

「大谷選手はすぐに家族と連絡が取れたそうですが、野球部は家族と離れて寮生活を送るため、なかなか安否がわからない部員も多く、監督が遠征用のバスに部員を乗せて運転し、家族の無事を確認しに行ったといいます。沿岸地域出身の部員の中には、自宅を流されるなど大きな被害を受けた子もいたそうです」(佐々木さん)

 未曽有の事態の中、それまではあたり前にできていた野球一筋の高校生活を続けることが難しくなるほど、生活の変化を余儀なくされる部員もいた。しかし、誰ひとり辞めることなくその年の夏、同校は甲子園に出場した。

「大谷選手も『個人個人で“野球どころではない”という仲間もいたと思う。でも、最後までみんなが辞めることなくできた。そのことは本当によかったと思います』と語っています。

 父の徹さんも『仲間意識や団結力が、翔平を含めてより増していったと思います』とおっしゃっていました。多感な時期に厳しい現実に直面するのは、苦しくつらいことです。しかしその一方で、生きることの重みや仲間と野球ができる尊さを、肌で感じたのではないかと思っています」(佐々木さん)

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