芸能

阿久悠さん 山本リンダ『どうにもとまらない』で「女性上位の詞を実現」

山本リンダが阿久悠さんへの思いを語る

山本リンダが阿久悠さんへの思いを語る

 山本リンダのヒット曲『どうにも止まらない』は、作詞家・阿久悠さんによる挑戦的な歌詞が刺激的だった。この歌詞と出会った時、山本はどう思ったのか。当時の思い出と阿久さんへの思いを山本が語る。

 * * *
『どうにもとまらない』がなかったら、今の私はないんです。

 1966年に遠藤実先生の『こまっちゃうナ』で歌手デビュー。ミノルフォンレコードにとって起死回生の初の大ヒットになりました。でもその後はだんだんヒットが出なくなり、ヒット曲を出すことの難しさを思い知る日々が続きました。

 1971年にキャニオン・レコードに移籍しましたが、キャニオンにもヒットがなく、そこでフジサンケイグループの会長さんが社運をかけてプッシュする歌手を決めようと、フジテレビのスタッフを集められて、所属の歌手の中から多数決で私を選んでくださいました。

 プロジェクトの始動にあたって、フジテレビのプロデューサー吉田斉さんが作詞の阿久悠先生と作曲の都倉俊一先生に、「山本リンダをバラバラにして建て直してほしい」と頼まれたそうです。その結果、歌で世界を巡ろうというのがコンセプトになり、1972年の『どうにもとまらない』がブラジル、『狂わせたいの』がペルシャ、『じんじんさせて』が中国、1973年の『狙いうち』がロシア……と大ヒットが続きました。

『どうにも~』の歌詞を読んだ時、「カッコイイ! 待ってた通りの歌だ! これが駄目なら私は歌手としてもう駄目だ!」との思いで必死に頑張りました。のちに阿久先生はご著書で「男尊女卑が歌の世界でも続いていた。だから女性上位の詞を書きたくて、山本リンダでそれを実現させた」というようなことを書かれていました。このような大役に選んでくださったことに感謝の思いでいっぱいです。

 阿久先生と都倉先生による一連の曲で私はイメージチェンジすることができたのです。1990年代には第3次リンダブームが起きました。お二人の作品には時代も世代も超える魅力がある。これからも歌の主人公になりきって歌い続けます。

【プロフィール】
山本リンダ(やまもと・りんだ)/1951年生まれ、福岡県出身。1962年にモデル活動を開始、1966年に歌手デビュー。1972年の『どうにもとまらない』からの一連の作品でリンダ旋風を巻き起こした。

取材・文/濱口英樹

※週刊ポスト2021年8月13日号

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト