国内

中曽根康弘氏から孫へ「歴史を勉強しなさい。浮かれている場合ではない」

祖父に初当選の報告をする康隆氏(写真は2017年撮影/本人提供)

祖父に初当選の報告をする康隆氏(写真は2017年撮影/本人提供)

 遺された家族の心に刻まれる、巨星たちが遺した「言葉」。第71・72・73代首相の中曽根康弘氏の孫にあたる中曽根康隆氏が振り返る。

 * * *
 晩年の祖父(中曽根康弘氏)は入退院を繰り返していましたが、病室でも元気に過ごしていました。大抵はベッドのリクライニングで起きており、新聞は3、4時間もかけて隅々まで線を引きながら読み込む。国会中継も欠かさず見ていました。

 妊娠中の妻を連れてお見舞いに行った時には、「双子ができる」と報告すると、「よかったなぁ」と喜んでくれました。

 亡くなる1か月ほど前に会った時は、祖父を元気づけるために、病室に私のポスターを貼ったのですが、「よく見えるように、もっとこっちに貼れ」と言われて貼り替えました。

 亡くなる2日前も様子は変わりなく、国会でのことを報告すると、「頑張れ」と嬉しそうに言ってくれました。

〈孫の康隆氏は祖父、父の背中を追って、2017年に自民党衆院議員となった。2年後の2019年11月29日、中曽根氏は101歳で死去した〉

 私の名前は祖父が命名しました。自分の字を継いだ唯一の孫でもあり、可愛がってもらいました。

 祖父からかけられた言葉で大切にしているのは、初当選の報告の時に言われた言葉です。

 開口一番に「歴史を勉強しなさい。浮かれている場合ではない」と言われました。「先見性をもって国の舵取りをできるようにならないと、政治家として駄目だ」とも。祖父は政治家になることが目標ではなく、政治家になって日本のために何をやるのか、その目的を持つことが大事であると真っ先に教えてくれたと受け止めています。

 そうして手厳しく対応しながらも、5分程度の面会の間に祖父は5回も握手をしてきました。徐々に嬉しさが込み上げてきたんだろうなと感じました。

 歴史を学べということは、思えば随分前から祖父に求められてきました。

 高校時代の途中から祖父と同じ屋根の下で住み、様々な話をするようになりました。

 私が部活から帰ると、玄関に新聞や本が置いてある。外交・安全保障や憲法、教育政策などが多かった。それらには祖父が付箋を貼っており、線が引かれていた。「康隆、これを読みなさい」ということです。夕食の際に、資料や書籍を読んだことを報告し、その内容について話をすることがありました。祖父の政治家としての熱量は、この頃から感じていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

裁判が開かれた大阪地裁(時事通信フォト)
《大阪・女児10人性的暴行》玄関から押し入り「泣いたら殺す」柳本智也被告が抱えていた「ストレスと認知の歪み」 本人は「無期懲役すら軽いと思われて当然」と懺悔
NEWSポストセブン
2019年に開始された日本の在留資格「特定技能」
韓国やオーストラリアでもなく…外国人材が円安・ニッポンで働く“現実的なワケ”
NEWSポストセブン
悠仁さまご自身は、ひとり暮らしに前向きだという。(2024年9月、東京・千代田区、JMPA)
《悠仁さま、4月から筑波大学へ進学》“毎日の車通学はさすがに無理がある”前例なき警備への負担が問題視 完成間近の新学生寮で「六畳一間の共同生活」プランが浮上
女性セブン
浩子被告の主張は
《6分52秒の戦慄動画》「摘出した眼を手のひらに乗せたり、いじったり」田村瑠奈被告がスプーンで被害者男性の眼球を…明かされた損壊の詳細【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
出入国在留管理庁の地方支分部局のひとつ、東京出入国在留管理局(東京都港区)
外国人労働者がSNSでシェアする“スムーズな退職ノウハウ”「日本人はその手のお涙頂戴に弱いから…」と解説《日本人が知らないリアル》
NEWSポストセブン
ビアンカ
《カニエ・ウェスト離婚報道》グラミー賞で超過激な“透けドレス”騒動から急展開「17歳年下妻は7億円受け取りに合意」
NEWSポストセブン
2月13日午後11時30分ころ、まだ懸命な消火活動が続いていた
茨城県常総市“枯草火災”の緊迫現場「ビニールハウスから煙がモクモクと」「なにも、わからない、なにかが燃えた」
NEWSポストセブン
二人とも帽子をかぶっていた
《仲良しツーショット撮》小山慶一郎(40)と宇野実彩子(38)が第一子妊娠発表 結婚直後“ハワイ帰りの幸せなやりとり”「いろいろ行ったよね!」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
「婚約指輪が見つからず…」田村瑠奈被告と両親の“乱れた生活” 寝床がない、お湯が出ない、“男性の頭部”があるため風呂に入れない…の実態【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
オンラインカジノに関する摘発が急増している
「24時間プレイする人や、1度に6000万円賭けた人も…」マルタ共和国のオンラインカジノディーラーが明かす“日本人のエグい賭け方”と“ホワイトなディーラー生活”
NEWSポストセブン
慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン