スポーツ

「同厩舎の2頭出し」「平場の2頭出し」に関する競馬の格言を検証

「夏競馬の格言」を検証結果は?(イメージ)

「夏競馬の格言」を検証結果は?(イメージ)

 誰もが夢見る“馬券生活”。「JRA重賞年鑑」で毎年執筆し、競馬を題材とした作品も発表している作家・須藤靖貴氏も、馬券生活を夢見て、競馬の研究に勤しんでいる。そんな須藤氏が、万馬券ゲットのために夏競馬の格言「同厩舎の2頭出しは人気薄を狙え」「平場の2頭出しは双方消し」を検証する。

 * * *
 格言・金言は先人の英知を端的に示してくれるありがたいもの。「親の小言と冷酒は後で効く」なんて言われたっけな。でも「今どき、冷酒なんて呑まねえもん」といった具合にやがては古びてしまうものでもある。

 格言をよりどころにするのは危なっかしい。特に毎週アップデートされる競馬ではことさらだ。

 今回疑うのは「同厩舎の2頭出しは人気薄を狙え」。人気馬はマークを受けやすく、そうじゃないほうが力を出し切れるという。配当の妙味はあるし、印象に残るレースも多いような気がする。

 コロナ禍以前の2019年日本ダービー。【1】ロジャーバローズ(12番人気)の鮮やかな逃げ切り勝ちは記憶に新しい。この時の角居厩舎は【6】サートゥルナーリアとの2頭出し。その1番人気馬は4着に敗れている。師も「そっちか」と声をあげたくらいである。ただし格言に乗った方も多かったのかどうか、【1】の単勝は9310円だったものの複勝は930円。ワイドもそれほど付かなかった。

 鞍上の緊張感にも影響がありそうだ。ロジャーバローズ騎乗の浜中も「人気を背負っていたら、思い切った早仕掛けをできたかどうかはわからない」と述懐している。

 2頭出しは陣営の思惑を考える愉しみもある。先の例では、師は「GIは勝つために出馬する」と断言した。「とりあえず参戦」はない。出す以上は2頭でも3頭でも勝つ算段があるのだった。

 2頭出しの首尾、実際はどんなものなのか。新しい情報がいい。去年から今年、ダービーからダービーまでの日程でオープン以上のレースでのデータを取ってみた(JRA-VAN TARGET使用)。

 同厩舎複数出しは218件。うち3頭出しは14。3頭だとややこしいので2頭出しの204件に絞った。人気下位の馬の逆転は75件。その率.368と悪くない。しかしその馬が3着以内に入ったのは23件。52件は逆転ではあるが共に着外だった。馬券に絡む逆転率は.113である。

 似たような格言に「平場の2頭出しは双方消し」というのもある。204回のうちどちらも馬券に絡まなかったのは112回。スカ率5割5分。

 もう少し粘ってみよう。「人気している馬」を厩友(?)がひっくり返すから印象に残る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン