ライフ

震災を乗り越えた笑顔が集う 日本一の酒どころ灘の角打ち名店

 日本一の酒どころと誉れ高い灘五郷のひとつ、“御影郷”地域に店を構える『三好酒店』。阪神電車の御影駅の南側、老舗の酒蔵が集まるこの地で創業百年。

「阪神・淡路大震災が人生の転機になりました」と語るのは、3代目店主の三好成和さん(61歳)。

「この辺は被害が大きくて、うちは建物は残ったけど、店の中がえらいことになっていて。当時、東京で働いていたのですが、勤め先を辞めて神戸に戻って母と一緒に店を立て直しました。

角打ちは長いこと2階でやっていたんですが、母も年を取ってきて階段が危なくなったこともあって、2006年ごろからは1階に場所を移したんですよ」(店主)

ロック好きの店主を囲み、店を愛する常連客で連日賑わう

ロック好きの店主を囲み、店を愛する常連客で連日賑わう

 80代まで現役で店にも立っていたという今は亡き母の意思を受け継いだ角打ちは、『立ち呑み 美よ志(みよし)』と命名した。

「ロックバンドのボーカルもしている趣味人よ」(70代、パート)というダンディーな店主を慕い、常連客で連日賑わう。

 この店の角打ちは2か所ある。店主がライブも開催する酒屋スペースと、もうひとつは、専用の入り口を設けた木の温もり溢れる隠れ家のような空間。

「もう生活の一部、自分の小遣いで気楽に飲めるしなぁ。昔は仕事の接待で銀座、新橋でよう飲んだもんやけどな。定年後はこういう雰囲気が良くて、リーズナブルで、気楽な店がいいよねぇ。

 飲みたいとき飲んで、帰りたいときに帰る、それが一番」(70代)と、白いハンチング帽を小粋に被った年配客が笑う。

「心が落ち着く場所やから、浮気もせず、この店一筋12年。ここで出会った気の合う仲間たちとのんびり飲む時間がほっとするよね」(70代)と、長年通うファッショナブルな年配客もくつろいでいる。

「生まれも育ちも神戸だよ」という粋な地元客の笑顔が弾ける

「生まれも育ちも神戸だよ」という粋な地元客の笑顔が弾ける

「不思議と吸い寄せられる心地いい店。磁石でも仕込んであるんちゃうかな(笑い)。天才料理人もおるしなぁ」(40代、営業)

 その話を聞いて、「誰が天才やねん、やかましいわぁ」と豪快に笑うのは、食材の仕入れから調理、お品書きの作成までこなす、調理担当のイサちゃん(愛称)だ。

「近所でお弁当屋さんをしてたんですが、店辞めてここへ飲みに来ていたら、社長(店主)に手伝ってくれってスカウトされてん(笑い)。もう仕事は辞めよう思ってましたけどね、体がうずうずしてなぁ。料理はすべてまかせてもらって、自由にやらせてもらってますよ」(イサちゃん)

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン