スポーツ

阪神優勝目指してOB座談会「ボクなら藤浪はよう使わんね」と中西清起氏

中西清起は岡田監督のもと一軍投手コーチとして2005年のリーグ優勝を経験

中西清起氏は岡田監督のもと一軍投手コーチとして2005年のリーグ優勝を経験

 2005年以来のリーグ優勝を目指し、前半戦をセ・リーグ首位で折り返した阪神。チームをリーグ優勝に導いたOBの中西清起氏、広澤克実氏、八木裕氏の3人が、後半戦について語る。ここでは投手陣について語った箇所を紹介しよう。【記事全4本の2本目】

 * * *
──五輪で1か月の中断があった影響は?

八木:調子を崩していた選手は助かったと思っているはずです。タイガースは打線の調子が落ちていたので、この中断をプラスに考えていいんじゃないでしょうか。

中西:投手陣はどうかな。リリーフ陣では守護神・スアレスにつなぐ岩崎(優)が、去年からの疲れが残っているなか、東京五輪代表に選ばれた。金メダルでモチベーションが上がったならいいけど、体調は心配ですね。

 あと、後半戦は「7回」をどうするか。岩貞(祐太)を外さなきゃいけなかったり、藤浪(晋太郎)を使ったりしていたけど、ボクが監督ならリリーフで藤浪はよう使わんね。いきなり四球を出すようなピッチャーは、僅差のマウンドには送れない。

広澤:前半戦の終わりで差を詰められた原因は、救援防御率が4点台ということに尽きるでしょう。トップの中日は2点台です。阪神は中継ぎ陣がいいのが伝統なのに、こんなのは久しぶり。優勝した2005年もJFK(ウイリアムス、藤川球児、久保田智之)が盤石だった。

中西:JFKにつないだら8割以上の勝率だったからね。ボクはブルペン担当の投手コーチだったけど、3人のコンディションにはもの凄く気を遣った。ブルペンでいかに無駄なボールを投げさせないか。久保田は早ければ8球でマウンドに向かわせたし、球児も11球くらいでしたね。試合前半でリードされたら“今日は登板なし”と決めて1球も投げさせなかった。

──岡田(彰布)監督のもと、中西さんがJFKの生みの親とも言われますが。

中西:あれはスポーツ紙が勝手に命名しただけで、チームのなかでは“そのうち暗殺でもされたらかなわんな”と言ってたよ(笑)。ただ、3人の起用は2004年シーズンの後半には決めていた。球児も久保田も故障明けで先発で使うのは難しく、1イニング30球限定ならということでメドが立った。

 まあ、最近は1回限定のリリーフがほとんどだけど、我々の時代は3イニングとか投げてましたからね。“ひとりJFK”をやらなアカンから、しんどかったよ(苦笑)。1985年に日本一になった時は、ボクと山本和行さんとのダブルストッパーだったからまだなんとかなった。

【プロフィール】
中西清起(なかにし・きよおき)/1962年生まれ。1983年ドラ1で阪神に入団。ストッパーとして1985年の日本一に貢献。岡田監督のもと一軍投手コーチとして2005年のリーグ優勝を経験。

広澤克実(ひろさわ・かつみ)/1962年生まれ。ヤクルト、巨人、を経て2000年に阪神に移籍。2003年のリーグ優勝に貢献し、2007年からは一軍打撃コーチとなったが、2008年のV逸で辞任した。

八木裕(やぎ・ひろし)/1965年生まれ。1986年ドラフト3位で阪神入団。“掛布二世”と呼ばれ、1992年の優勝争いでは主軸で活躍。“代打の神様”と呼ばれ、2003年のリーグ優勝を経験。

撮影/杉原照夫

※週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗「アラフォーでも美ボディ」スタートさせていた“第2の人生”…最中で起きた波紋
NEWSポストセブン
音楽業界の頂点に君臨し続けるマドンナ(Instagramより)
〈やっと60代に見えたよ〉マドンナ(67)の“驚愕の激変”にファンが思わず安堵… 賛否を呼んだ“還暦越えの透け透けドレス”からの変化
NEWSポストセブン
石破茂・首相の退陣を求めているのは誰か(時事通信フォト)
自民党内で広がる“石破おろし”の陰で暗躍する旧安倍派4人衆 大臣手形をバラ撒いて多数派工作、次期政権の“入閣リスト”も流れる事態に
週刊ポスト
1999年、夏の甲子園に出場した芸人・とにかく明るい安村(公式HPより)
【私と甲子園】1999年夏出場のとにかく明るい安村 雪が降りしきる母校のグラウンドで練習に明け暮れた日々「甲子園を目指すためだけに高校に通った」 
女性セブン
クマ外傷の専門書が出版された(画像はgetty image、右は中永氏提供)
《クマは鋭い爪と強い腕力で顔をえぐる》専門家が明かすクマ被害のあまりに壮絶な医療現場「顔面中央部を上唇にかけて剥ぎ取られ、鼻がとれた状態」
NEWSポストセブン
小島瑠璃子(時事通信フォト)
《亡き夫の“遺産”と向き合う》小島瑠璃子、サウナ事業を継ぎながら歩む「女性社長」「母」としての道…芸能界復帰にも“後ろ向きではない”との証言も
NEWSポストセブン
ジャーナリストの西谷格氏が新疆ウイグル自治区の様子をレポート(本人撮影)
《新疆ウイグル自治区潜入ルポ》現地の人が徹底的に避ける「強制収容所」の話題 ある女性は「夫は5年前に『学習するところ』に連れて行かれ亡くなりました」
週刊ポスト
会見で出場辞退を発表した広陵高校・堀正和校長
《海外でも”いじめスキャンダル”と波紋》広陵高校「説明会で質問なし」に見え隠れする「進路問題」 ”監督の思し召し”が進学先まで左右する強豪校の実態「有力大学の推薦枠は完全な椅子取りゲーム」 
NEWSポストセブン
起訴に関する言及を拒否した大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ハワイ高級リゾート開発を巡って訴えられる 通訳の次は代理人…サポートするはずの人物による“裏切りの連鎖” 
女性セブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト