国内

安倍・麻生氏 自民総裁選に対抗馬出し菅首相無投票再選の阻止狙う

麻生太郎・副総理にはどんな思惑が?(時事通信フォト)

麻生太郎・副総理にはどんな思惑が?(時事通信フォト)

 9月末の自民党総裁選挙では、安倍晋三・前首相側近の高市早苗・前総務相や岸田文雄・前政調会長の出馬が取りざたされているが、そこには菅義偉・首相の再選を阻みたい安倍氏や麻生太郎・副総理の思惑があるとされる。

 安倍、麻生、菅の3氏は安倍政権の7年8か月、“同じ釜の飯”を食ったいわば政治的同志であり、昨年の総裁選で菅義偉・総裁(首相)を誕生させた。つい3か月前にも、安倍氏は「当然、継続して首相の職を続けるべきだ」と菅首相の総裁再選支持を表明していた。

 それがなぜ、対立候補の出馬を促して事実上の「菅降ろし」に舵を切ったのか。

 きっかけは菅首相と二階俊博・幹事長による総裁選「強行突破」作戦だ。自民党は8月3日の総裁選挙管理委員会の初会合で、党員投票など規定通りの総裁選実施を決め、「9月29日投開票」の日程が有力視されている。二階氏はこの日の会見で「複数の候補になり得るかどうか見通しがない。現職が再選される可能性が極めて高い状況なのは誰もが承知の通りだ」と最終的には総裁選を行なわず、菅首相の無投票再選になることを強く示唆する言い方をした。二階派の閣僚経験者が語る。

「予定通り9月に総裁選を実施すれば、対抗馬はいない。安倍さんがポスト菅の候補に名前を挙げた茂木敏充・外相、加藤勝信・官房長官、下村博文・政調会長、岸田前政調会長の4人はいずれも派閥の複雑な事情を抱えて出馬は難しい。世論調査で人気の高い河野太郎・行革相や石破茂・元幹事長も準備をしていない。二階さんは菅総理に、支持率が低くても9月に総裁選をやれば無投票再選できると持ちかけ、強行突破に動いた」

 このことが安倍、麻生両氏を“菅はオレたちの言うことを聞く気はない”と強く刺激した。政治評論家・有馬晴海氏が語る。

「菅首相のコロナ失政が続いても、自民党に代わりの有力な総理総裁候補がいないのは事実。だから安倍氏と麻生氏は菅再選を支持する条件として自分たちの言うことに従わない二階幹事長の交代を要求していた。ところが、菅首相は要求を飲まないばかりか、逆に二階氏の戦略に乗った。無投票再選なら二階氏がこの先も幹事長続投になってしまう」

 安倍氏らは早急に総裁候補のカードをつくる必要に迫られた。

「(7月30日に行われたとされる)安倍・麻生会談では、誰でもいいから総裁選に出馬させて菅首相の無投票再選を阻止することを確認したはずです。2人が高市支持に回るとは限りません。総裁選に複数の候補が出馬しさえすれば、自分たちが誰を支持するかでキングメーカーになれるし、評判の悪い菅首相はどんどん不利になっていく。それが彼らの狙いです」(有馬氏)

「女性」「無派閥」「安倍側近」で担ぎやすい高市氏は、安倍・麻生氏にとって総裁選実施に持ち込むためだけの“捨て駒”候補ということのようだ。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト