新技術導入とTwitter連動企画
日本テレビがプロ野球中継でこれらの試みを行っている理由は、視聴率の獲得にほかなりません。日本テレビは2010年代以降、民放各局による視聴率レースでトップを走り続けているため、これまで何度となく「巨人戦が足を引っ張っている」と言われ続けてきました。
また、日本テレビはスポンサーの反応がいい「コア層」(13~49歳)の個人視聴率を重視した番組制作を他局に先駆けて行ってきましたが、プロ野球中継のメイン視聴者は「4層」と言われる65歳以上の高齢者たち。だからこそ今年の試みは「何とか若年層を集めたい」という切実さの表れであり、それは亀梨さんの起用からもうかがえますが、現実は難しいものがあります。
今やプロ野球ファンの大半は、試合の最後まで中継しない地上波ではなく、CSやDAZNなどの動画配信サービスで試合を見ることが当たり前のようになりました。とはいえ、読売新聞のグループ会社である日本テレビとしては、「地上波の放送を打ち切る」「ゴールデンタイムから撤退」という決断は難しく、「地上波の放送で若年層の視聴者を獲得しなければいけない」という使命を抱えています。
だからこそ前述した試みのほかにも、今年から、状況に応じた作戦成功率を算出する「AI得点確率予測」、塁審の帽子に取り付けた「2塁塁審カメラ」、投球をCG表示する「新・球筋カメラ」、打球データを可視化した「バッティング解析」などの技術的な試みを導入しました。
また、6月30日の「巨人×広島」では、Twitterライブで「掘れば掘るほど野球が面白くなるSP」と題してクイズ形式の情報コンテンツを配信。「プロ野球中継の新たな楽しみ方を提供しよう」という姿勢を見せてきました。