ライフ

血中酸素測るパルスオキシメーター 10年前から持ち歩くジャーナリストの提言

コニカミノルタは2021年3月、パルスオキシメーターの増産を決めた(イメージ、コニカミノルタ提供、時事通信フォト)

コニカミノルタは2021年3月、パルスオキシメーターの増産を決めた(イメージ、コニカミノルタ提供、時事通信フォト)

 新型コロナウイルスに感染して自宅で療養する人が増えている。それらに対応するため、様々な自治体で血液中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」を追加で拡充する動きが広がっている。医療ジャーナリストの市川純子さんが、コロナで身近になったパルスオキシメーターについて、みずからの闘病経験も交えて、その利便性と注意点をレポートする。

 * * *
 血液中の酸素の大半は赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれる。これを、指先など体に光を透過させることで、動脈血の酸素飽和度(SpO2)を計測できる測定器がパルスオキシメーターだ。一般的には96から98が標準値。90以下の数字が出た場合は肺のダメージが相当進んでいると判断される。肺のダメージが増えると肺から血液に酸素がこないために酸素飽和度が下がってくる。全身のどこかに炎症があると体温が上がる。体温計が全身の炎症のバロメーターならば、パルスオキシメーターは肺の炎症のバロメーターだ。正しい使用法を指導や助言をもらえれば自分でも計測して目安にすることができるため、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者や、もしものときに備えて購入する人が増えている。

 池袋大谷クリニックの大谷義夫院長に尋ねると 「新型コロナウイルス感染症の場合、正常な酸素飽和度を下回っていても、普通に会話ができ、苦しくなったり胸が痛くなったりせず、酸素飽和度を計測しなければ容態が悪化していると分からないことがあります。最近は病床がひっ迫しているからと、自覚症状だけでは救急搬送の対象になりづらく、客観的な指標である酸素飽和度の数字が重要。更に、自覚症状だけでは見逃されてしまう可能性のある重症化をキャッチするためにパルスオキシメーターが自治体から貸与されている。これを普段から常備することは意義のあることだと思います」という。

 私自身、この体内パルスオキシメーターをカバンに入れて10年以上持ち歩いている。以前なら大げさなと言われることも珍しくなかったが、一度も肺炎を患ったことがない人にとって、酸素飽和度がどんなに大切かわからないと思うので仕方がない。だが、コロナに備える生活が続くなか、以前ほど、持っていることが驚かれなくなったように思う。

 長年、パルスオキシメーターを使い続けるなかで気づいたこと、そのときどきに医師などからアドバイスを受けて分かってきた、きちんと測るコツがいくつかある。部屋が冷えすぎている場合はデータが変わってしまうこともあるので、しっかりと指先を温めてから計測するように心がけている。というのも、指先が冷えていると、病態が悪化し血圧が下がってしまったときと同じように、指先の血流が少なくなり酸素飽和度が正常な範囲に届かないことがあるからだ。また、指を差し込むときにはしっかり奥まで差しこむことも重要だ。

 よく言われているように、ジェルネイルやエナメルを爪に塗っていると正しい測定ができないので、測る場合はネイルを落としてから。手先のオシャレを止めたくない人にとっては、足の指で計測することもできるのだが、その場合、できれば毎回同じ足の指で測るのが望ましい。そして何より、同じパルスオキシメーターを購入するならば、できれば医療機器認証を受けた、精度が確認されているものが望ましい。私が初めて購入したときは数万円するのが当たり前だったが、最近は、医療機器認証を受けたものでも5000円台から選べる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン