ブランドが推す「セットアップ」に要注意!
そして、最も気をつけたいのは、ブランドが推している「セットアップ」を安易に選ばないでもらいたいということです。
セットアップとはアパレルでは、同色・同素材でできた上下セットを指しますが、これまでメンズのセットアップというのは、スーツスタイルの延長線上でした。テイラードタイプのジャケットとその同色・同素材のズボンという商品でした。
しかし、昨年ぐらいからジーユーやアダストリアのレイジブルーやニコアンドなどの若者向けメンズブランドでは「シャツ+ズボン」「ブルゾン+ズボン」と言った「変則セットアップ」が数多く提案されるようになりました。
確かにこれまでになかった商品で目新しいのですが、「似合うファッション」とは年齢や年代、体格・体型・顔付きによっても異なります。若くてスラっとした男性にはこれらの変則セットアップは似合っても、おじさんが着ると「シャツ+ズボン」のセットアップはパジャマに見えますし、「ブルゾン+ズボン」のセットアップは作業服にしか見えません。また「CPOジャケット(※注)+ズボン」だと、人民服のコスプレみたいになってしまいます。
※注/「Chief Petty Officer=海軍下士官」の略称。アメリカ海軍の制服をモチーフとしたシャツ型のジャケットアイテム。
例えば、ジーユーの今夏の商品ですが、ドライダブルフェイスの上下セットアップですが、トップスが開襟半袖シャツ型なので、上下をグレーや薄茶色などの同色で揃えるとまるで半袖パジャマです。黒の上下だと幾分か緩和されますが、それでもやっぱりおかしなスタイルだといえます。
ドライダブルフェイスオープンカラーシャツ(1990円)+ドライダブルフェイスワイドテーパードアンクルパンツ(1990円)のセットアップを前開きで着た写真
同じセットアップの前を留めて着たら、パジャマのように見える
オープンカラーシャツ(1690円)とドライダブルフェイスワイドテイパードアンクルパンツの組み合わせ。こちらのほうがまともに見える
また、今秋の新作のCPOジャケット+パンツですが、どうでしょう? どこかの国の将軍様のような出で立ちになってしまいます。 これも上下を別々に着たほうが、おじさんには安全でしょう。
CPOシャツ(2490円)と流行りのバルーンパンツを着て前を全部閉めると、まるで将軍様
スーツに近いものを選ぶと「ハズレなし」
一方、これも今秋の新作のカットソージャケット+ズボンの上下セットですが、ジャケットがテイラード型なのと、上下ともにそこまで極端にビッグシルエットではなくジャストサイズに近いので、おじさん世代には比較的似合いやすいと思います。
それでも5年前のテイラードジャケットと比べるとウエストの絞りがなくなり、ルーズシルエットになっていますが、このくらいのルーズ感にとどめておくほうが安全だと思います。このカットソー上下は定価でも合計5480円(ジャケット2990円、ズボン2490円)ですから、買いやすい値段だといえます。色は黒、ベージュ、ダークブラウンの3色あります。
カットソージャケット(2990円)+カットソーテーパードアンクルトラウザー(2490円)のセット
メンズのファッションに関して言えば、どんなに不格好なおじさんでもスーツが似合わないという人はほとんどいません。逆にスエットパーカとかジョガーパンツなどのカジュアルな服装は似合う・似合わないがハッキリと分かるうえに、似合っているおじさんは少数派です。
ドライダブルフェイスオープンカラーシャツ+バルーンパンツの組み合わせ。バルーンパンツの着こなしは中高年には難しい
ですから、おじさん世代はスーツかスーツっぽいものを選ぶとハズレが少ないといえます。ジーユーで選ぶ際には、「ジャストサイズに近いもの」「できるだけスーツに近いものと、それに合わせやすいアイテム」を選ぶと、失敗が少なくて済みます。