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「アマ、その渾然一体の魅力」沖田臥竜×藤井道人が語り合う尼崎

『ムショぼけ』著者の沖田臥竜さん(右)と、同作をドラマ化した藤井道人監督

『ムショぼけ』著者の沖田臥竜さん(右)と、同作をドラマ化した藤井道人監督

 尼崎(あまがさき)市。人口約50万人、面積50平方キロメートル。兵庫県の南東端にあり、大阪府に接する街。数字だけ見ると、全国に数えきれないほどある、少し規模の大きい地方自治体の1つに過ぎない。だが、ある種、独特の存在感を放つ街として、全国区で知られている。

「尼崎は、住んでる人間に言わせれば、ごく平凡な街ですよ。デパートも映画館も商店街もあって、いうほど田舎でもないし、かといって都会というわけやない。地元愛が強い人が多いかというても、そうでもない。ただ、地元の人はみんな、尼崎を『アマ』って呼びますね。出身はどこですか、って聞かれたら、不思議なぐらいみんな口を揃えて『アマですわ』って答える。地元に愛称をつけて呼んでる人なんて、アマの人ぐらいちゃいますか」

 そう話すのは、最新著『ムショぼけ』を9月7日に上梓した作家・沖田臥竜さん(45才)だ。同作の舞台は尼崎であり、沖田さん自身が生まれ育った街でもある。

 同作の主人公・陣内浩介もアマ生まれ、アマ育ち。刑務所から出所したばかりの元ヤクザだ。長い刑務所暮らしで、日常生活のリズムや常識を忘れてしまった精神状態である「ムショぼけ」(医学的には「拘禁反応」という)に悩みながら、家族や仲間たちに支えられ、まっすぐに生きていくというヒューマンドラマ作品である。

 同作の地上波連続ドラマ化(今年10月よりABCテレビ・テレビ神奈川にて放送開始)を企画プロデュースした、映画監督の藤井道人さんが続ける。

「尼崎は、お笑いのダウンタウンさんが生まれ育った街として知っていたのと、ちょっとヤンチャで、物騒なイメージはたしかにありました。ニュースでも『けん銃の発砲事件が……』みたいなのも少なからずありますし。

 でも、沖田さんが書いた『ムショぼけ』を読んで、ドラマをイメージしたとき、『尼崎を中心に関西で撮影したい』と直感しました。全編が関西弁だったり、尼崎周辺の地名がたくさん出てきたというだけでなく、“沖田さんの人生を感じられる本”だったので、これは尼崎ロケ以外は考えられないなと」

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