ライフ

電磁気学、気象学、数理統計学を網羅した「地震解析ラボ」の総合力

「地震解析ラボ」を発信する電気通信大学名誉教授の早川正士氏(写真/本人提供)

「地震解析ラボ」を発信する電気通信大学名誉教授の早川正士氏(写真/本人提供)

 地震予測の最前線はどうなっているのか──。1週間以内の地震を予測する「地震解析ラボ」は、2010年に電磁環境学の研究者で電気通信大学名誉教授の早川正士氏を顧問として発足した。それ以来、早川氏が退任した後も地震予測に関する情報発信を続けている。

 運営元であるインフォメーションシステムズ・平井道夫・社長が語る。

「私たちは地震学に加えて、電磁気学や気象学、数理統計学など幅広い学問と多種多様な観測データを組み合わせた独自のノウハウで地震を予測しております」

 地震解析ラボが地震予測に利用する観測データは主に3つである。

「一つ目は、弊社が特許を獲得しているVLF/LF電波による観測です。これまでの内外の研究で地震発生の1週間ほど前から震源域の上空にある電離層(大気の上層にあって電波を反射する層)に異常が生じることがわかっており、その異常はVLFとLFという特定の周波数の電波で捉えることができます。

 弊社は、国内3か所と海外3か所の計6つの送信局から送信されるVLF/LF電波を、北海道、浜松、徳島など国内10か所に設置した観測地点でキャッチし、モニタリングしています。

 二つ目は、地震発生前に震源付近の地層で起こる『微小破壊』(マイクロフラクチャー)とともに発生する『ULF電磁放射』を観測する方法。三つ目は、地震の前兆とされる電離層の電子数の異常変化を『GPS衛星電波』で観測する方法を活用しています」(平井氏)

 そのほか、防災科学技術研究所が公開する地震計データや、気象庁や日本気象協会が持つ地震・気象データなども組み合わせて、独自のアルゴリズムで分析することで、1週間以内の地震を予測を立てている。

 2020年12月18日に伊豆大島近海で発生したM5.0の地震では、地震の発生日と規模を的中させ、その他にも5月の千葉県北東部地震(M5.5)、6月の千葉県東方沖地震(同6.1)、8月の三重県南東沖地震(同5.3)などを的中させた(別掲MAP参照)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト