ビジネス

社員の出社にこだわる経営者は「みんな来ないと俺もさびしい」と真顔でいった

緊急事態宣言が解除された1日朝、出勤する人たち。10月1日、東京都千代田区(時事通信フォト)

緊急事態宣言が解除された1日朝、出勤する人たち。10月1日、東京都千代田区(時事通信フォト)

 緊急事態宣言が9月末で解除となり、朝の通勤ラッシュが戻ってきた。宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大防止は続ける必要がある。防止策のひとつに「3密」を避けることがあるが、満員電車は人との距離が密で、もっとも避けたい場面のはずだ。ところが、その象徴的な存在でもある通勤ラッシュが復活している。俳人で著作家の日野百草氏が、出社する社員の本音や、出社させている管理職側の事情について聞いた。

 * * *
「こんなに混んだの久しぶりだよ」

 都内JR、筆者は知人の60代男性に同行して朝の通勤電車に乗り込んだ。ホームは溢れんばかりの人。駅にもよるのだろうが、コロナ禍以前に戻ったのではないかという列が幾重にも連なっている。乗り込んだ車両もほぼ満員。すし詰めというほどではないが、身動きはとれない。全員マスク姿で黙っている。筆者と知人も黙るしかない。

「先月までガラガラだったのに、やっぱ日本人は会社が好きだね」

 車両から吐き出される人に流されるまま降りて一言。彼の仕事は清掃業で午前10時からの短時間、施設の巡回清掃をしている。

「年金の足しだから気楽だけど、電車が混むのは勘弁だなあ」

 彼によれば先月の9月まではガラガラだったという。エッセンシャルワーカーにすれば以前は空いていてありがたかったということだろう。

 緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が一気に解除された9月30日を境に満員電車という日常が戻った。筆者も解除後に別件で私鉄に乗ったが、これほどではないにせよ明らかに出勤するサラリーマンが増えた。ついに「ウィズコロナ」が日本でも始まったということか。

リモートワークは夢のような日々でしたよ

「会社って本当に行く必要あるんですかね」

 翌日、IT関連企業に勤める後輩に話を聞く。この男、リモートワーク中はルンルンでラインを送ってきたのに、通常出勤になった途端に落ち込んでいる。出版社時代から「自宅作業」とホワイトボードに貼り付けたままの困った編集部員だったが仕事はできる男だ。

「成果は出してますし、これまでも週2の出勤で会社が回ってたんですから、このままでいいんじゃないですかね」

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト