スポーツ

豪華3強対決の天皇賞秋 もしも「一角崩し」が起きるなら

東京競馬場のパドック

東京競馬場のパドック

 東京の芝2000mは誤魔化しの効かないコースと言われる。世代を超えたガチンコ対決に興味は深まるばかりだ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

 * * *
 三冠馬コントレイル、GⅠ5勝のグランアレグリア、今年の皐月賞馬エフフォーリア…。“一騎打ち”は時として一方が惨敗するが、“3強対決”は人気通りにすんなり決まることが多いと言われている。

 天皇賞(秋)の“3強対決”といえば2008年。春の安田記念を勝ったウオッカの単勝オッズが2.7倍、大阪杯(当時はGⅡ)を勝ったダイワスカーレットが3.6倍、3歳馬でNHKマイルカップとダービーを勝ったディープスカイが4.1倍で、4番人気は14.6倍と大きく離れており、着順もこの通りだった。馬連550円、3連複は710円。

 平成以降、1~3番人気の3頭で決まったのは、ほかに2回あり、いずれも単勝1倍台の1番人気馬が2着に敗れているが、連勝の払戻金は410円(枠連)と290円(馬連)。

 一方、2001年は1~3番人気が2.1倍のテイエムオペラオー、3.4倍のメイショウドトウ、4.5倍のステイゴールドだったが、4番人気で20倍のアグネスデジタルが勝ち、テイエムオペラオー2着、メイショウドトウ3着で、ステイゴールドは7着に敗れた。馬連は2790円で、馬単と3連複はまだ発売されていなかった。ステイゴールドはこの時点では、まだGⅠを勝っていなかったが、オッズから見れば“3強”の一角が崩れたと言ってもいいだろう。“3強”とはいえないまでも、1~3番人気のうち1頭が馬券対象から外れたのは平成以降で11回ある。

 今年の“3強”は昨年のジャパンカップに匹敵するほどの“3強”といえるが、だからこそ懲りずに“一角崩し”を狙う。

“3強”のうち崩れそうもないのはグランアレグリア。グレード制が敷かれて以降スプリントGⅠ馬が2000mの天皇賞を勝ったことはないが、グランアレグリアはマイルGⅠに4勝。マイラーが能力の違いでスプリントGⅠも勝ったということだろう。このレースなぜか1勝だけというディープインパクト産駒だが、東京2000mの速い時計に対応できるのは、むしろマイラータイプではないか。

 かつての管理馬でマイルCSを勝ったシンコウラブリイや内外の1200~1600mGⅠを5勝したタイキシャトルは、外国産馬だったため当時天皇賞(秋)に出走できなかった。「外国産馬に開放されていれば、きっと天皇賞を使っていた」(『GⅠの勝ち方』)という藤沢和雄調教師。同書では天皇賞(秋)について「1600mの馬で2000mを勝とう」とするのが世界競馬の趨勢だとも記している。このレースこれまで3連覇を含む6勝、誰よりも勝ち方を知っている名伯楽が、来年2月の引退を前に3階級制覇という新たな偉業をなしとげれば調教師人生の集大成となる。

 コントレイルはタフな馬場だった前走・大阪杯の疲れがなかなかとれなかったとのことで、およそ7か月ぶりの出走になる。平成以降の1~3着馬でこのローテーションは、前記のダイワスカーレットぐらい。もちろん引退まであと2戦という三冠馬。出てくるからには万全の態勢だろうが、こちらはディープインパクト産駒でも菊花賞を勝っている。適距離は2000mだというが、スピードよりもタフさが持ち味なのかもしれない。

 エフフォーリアはダービー2着とはいえ勝ち馬と同タイムで実質2冠馬といっていいが、3歳馬は2004年のシンボリクリスエス以降勝てていない。前記の変則2冠馬ディープスカイも牝馬2頭の後塵を拝した。ここ10年で皐月賞馬イスラボニータやサートゥルナーリア、あるいはオークス馬ソウルスターリングなど12頭が駒を進めてきたが、いずれも古馬の壁に阻まれている。そういえば昨年JCの“3強対決”でも3歳三冠馬2頭は勝てなかった。

 ここはクラシックディスタンスに実績がある馬ではなく、距離を延ばして挑んでくるマイラータイプに一角崩しを託したい。

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン