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豪華3強対決の天皇賞秋 もしも「一角崩し」が起きるなら

東京競馬場のパドック

東京競馬場のパドック

 東京の芝2000mは誤魔化しの効かないコースと言われる。世代を超えたガチンコ対決に興味は深まるばかりだ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

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 三冠馬コントレイル、GⅠ5勝のグランアレグリア、今年の皐月賞馬エフフォーリア…。“一騎打ち”は時として一方が惨敗するが、“3強対決”は人気通りにすんなり決まることが多いと言われている。

 天皇賞(秋)の“3強対決”といえば2008年。春の安田記念を勝ったウオッカの単勝オッズが2.7倍、大阪杯(当時はGⅡ)を勝ったダイワスカーレットが3.6倍、3歳馬でNHKマイルカップとダービーを勝ったディープスカイが4.1倍で、4番人気は14.6倍と大きく離れており、着順もこの通りだった。馬連550円、3連複は710円。

 平成以降、1~3番人気の3頭で決まったのは、ほかに2回あり、いずれも単勝1倍台の1番人気馬が2着に敗れているが、連勝の払戻金は410円(枠連)と290円(馬連)。

 一方、2001年は1~3番人気が2.1倍のテイエムオペラオー、3.4倍のメイショウドトウ、4.5倍のステイゴールドだったが、4番人気で20倍のアグネスデジタルが勝ち、テイエムオペラオー2着、メイショウドトウ3着で、ステイゴールドは7着に敗れた。馬連は2790円で、馬単と3連複はまだ発売されていなかった。ステイゴールドはこの時点では、まだGⅠを勝っていなかったが、オッズから見れば“3強”の一角が崩れたと言ってもいいだろう。“3強”とはいえないまでも、1~3番人気のうち1頭が馬券対象から外れたのは平成以降で11回ある。

 今年の“3強”は昨年のジャパンカップに匹敵するほどの“3強”といえるが、だからこそ懲りずに“一角崩し”を狙う。

“3強”のうち崩れそうもないのはグランアレグリア。グレード制が敷かれて以降スプリントGⅠ馬が2000mの天皇賞を勝ったことはないが、グランアレグリアはマイルGⅠに4勝。マイラーが能力の違いでスプリントGⅠも勝ったということだろう。このレースなぜか1勝だけというディープインパクト産駒だが、東京2000mの速い時計に対応できるのは、むしろマイラータイプではないか。

 かつての管理馬でマイルCSを勝ったシンコウラブリイや内外の1200~1600mGⅠを5勝したタイキシャトルは、外国産馬だったため当時天皇賞(秋)に出走できなかった。「外国産馬に開放されていれば、きっと天皇賞を使っていた」(『GⅠの勝ち方』)という藤沢和雄調教師。同書では天皇賞(秋)について「1600mの馬で2000mを勝とう」とするのが世界競馬の趨勢だとも記している。このレースこれまで3連覇を含む6勝、誰よりも勝ち方を知っている名伯楽が、来年2月の引退を前に3階級制覇という新たな偉業をなしとげれば調教師人生の集大成となる。

 コントレイルはタフな馬場だった前走・大阪杯の疲れがなかなかとれなかったとのことで、およそ7か月ぶりの出走になる。平成以降の1~3着馬でこのローテーションは、前記のダイワスカーレットぐらい。もちろん引退まであと2戦という三冠馬。出てくるからには万全の態勢だろうが、こちらはディープインパクト産駒でも菊花賞を勝っている。適距離は2000mだというが、スピードよりもタフさが持ち味なのかもしれない。

 エフフォーリアはダービー2着とはいえ勝ち馬と同タイムで実質2冠馬といっていいが、3歳馬は2004年のシンボリクリスエス以降勝てていない。前記の変則2冠馬ディープスカイも牝馬2頭の後塵を拝した。ここ10年で皐月賞馬イスラボニータやサートゥルナーリア、あるいはオークス馬ソウルスターリングなど12頭が駒を進めてきたが、いずれも古馬の壁に阻まれている。そういえば昨年JCの“3強対決”でも3歳三冠馬2頭は勝てなかった。

 ここはクラシックディスタンスに実績がある馬ではなく、距離を延ばして挑んでくるマイラータイプに一角崩しを託したい。

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