その時の映像は露国内外で拡散され話題となった。メドベージェフ氏の“ジョーク”という声がある一方、あえて「UFO・宇宙人問題」に言及した真意に注目が集まっている。
前出・山口氏はこうみる。
「メドベージェフ氏は自身が大統領になったタイミングで、UFO問題の真実を公表する意向だった。もちろん、プーチン氏の意向に沿ったものと思われます。ただ、当時の米・オバマ大統領がこれに消極的だった。バイデン大統領しかり、米・民主党政権はUFO情報の開示に消極的に思えます」
前述の「JFK文書」公開も、米当局の「UFO情報」開示も、畳みかけたのは共和党のトランプ前大統領だった。
トランプ氏は約40年前に凍結された「アポロ計画」の復活を訴え、在任中の2019年に「5年以内に再び人類を月に送り込む」と宣言した。こうした流れがあるからこそ、トランプ氏は自身の再選を見越し、ロシアと歩調を合わせ「UFO情報」を開示、米国民だけでなく各国に宇宙人の存在を知らしめようとするビジョンがあったとの見方があるのだ。
冒頭で触れた米当局による情報開示では、2004年以降に海軍パイロットが撮影した映像を含む144件が精査され、その大半が「説明不能」とされた。
こうした動きを「極めて異例で大きな進歩」とするのは、元石川県羽咋市役所職員でUFO問題に詳しい高野誠鮮氏だ。
「今回の調査報告は、これまで当局が頑なに否定してきた“地球外惑星からの飛来”説を排除しなかった。海軍パイロット撮影の映像はSNSで流出したものも含まれています。米政府もいよいよ『宇宙人の存在を隠し切れなくなってきた』ということではないか」
今や「超大国」となった中国も当然、「この問題には大きな関心を持っているはず」と前出・山口氏は語る。
「米露と歩調を合わせず、独自のルートで宇宙人と接触している可能性がありますが、冷戦時代のソ連同様、限られた情報しか出てこない。ただし、米露が大きく舵を切ればそれに追従するしかないでしょう」
「第三種接近遭遇」が公になる日は近いのか。
※週刊ポスト2021年12月3日号