「残り400回転」閉店時間との戦いに
残り400回転ということは、約2万円で到達できる。そこから連チャンすれば合計5万円くらいならギリギリまくれるかもしれないし、まくれないまでもそこそこの出玉で負けの金額減らせるし大丈夫──と頭の中のぶっ壊れたソロバンを弾きます。
この時間帯の懸念材料である、閉店までに到達して、なおかつ当たりの連チャンを消化できるかについても考えを巡らせました。
100回転の消化におおよそ20分かかっているから、1時間で300回転、22時に残り100回転で遅くとも22時20分には遊タイムに突入できる。そこから当たりを引いて連チャンしても、この台の大当たりの消化の速さなら、30分もあれば10連程度の消化は可能だし、「大当たりを消化しきれなくても投資金額の回収は可能だろう」と時短突入、連チャン前提というプラス要素しか考えない強気の計算をしてしまいました。
勝負続行を決めるとあとは閉店時間との戦いです。トイレに行く間も惜しんで打ち続けましたが、勝負続行の決断は早々に猛烈な後悔に変わりました。思っていた以上に400回転は長く苦痛だったのです。
少しでも玉が入らなくなり回りが遅くなるとそれだけで非常にイライラしてしまうし、いつもは気にならないリーチも、無駄に時間を消費してしまうため、かかっただけでイライラが募ります。打っていて楽しいはずの台が、打つことが非常に苦痛になってしまったのです。やめたいと思いましたが、この間にも投資金額は嵩み、遊タイムが近くなるとますますやめられない状況になっていました。
22時を過ぎると客足はまばらになり、36台設置されている「P牙狼 月虹ノ旅人」の島も、私を含め打っているのは6人ほどになりました。
そのうちの一人、隣のおじさんは私より50回転ほど先をいっている。「遊タイムまで残り9回転」と表示されたところで熱めのリーチがかかってしまったようで、祈るように画面を見つめていました。
横目でチラチラ見ながら、「遊タイム無事に突入できるといいな」「もし当たってしまっても魔戒CHANCE突入できるといいな」と願うも、無情にも単発の大当たり。おじさんは放心状態で画面を見つめています。私が座った時から隣にいるため、私以上の投資金額なのは間違いなく、痛いほど気持ちがわかります。他人事ではなく、自分もそうなる可能性があるのだと急に理解し背筋に嫌な汗が走りました。