自粛生活で「リアルとネット」の差異が薄くなった
「YouTuberたちは、昨今ではテレビで見るスターではなく、あくまでクラスの人気者のような立ち位置として、特に小学生の間で人気を博しています。
理由はさまざま考えられますが、生まれた時からSNSが存在したデジタルネイティブの世代にとって、デジタル上で常にだれかとつながることを日常として築かれた独自の距離感に、コロナ禍による自粛によって一層、『リアルの友達』と『ネットの友達』の差異が薄くなった結果、YouTuberたちの親しみやすさがマッチしているからだと思います」(Jini氏)
さらに近年では、YouTuberなどの括りを超えてインフルエンサーが集まり、ゲーム大会の配信を行っており、こうした動きも人気コンテンツとなっているようだ。Jini氏が続ける。
「昨今、VtuberやYouTuberの垣根を超えた交流が見られるようになりました。
プロゲーミングチームCrazy Raccoonが主催する、招待制のゲーム大会CRカップでは、これらインフルエンサーがチームを組み、初心者からプロゲーマーまで一緒に練習(その様子も配信し、コンテンツにする)して、最終的に大会でぶつかりあう様子が配信されます。こちらは同時接続55万人でした。
要するに、『クラスの人気者』たちが集まって一つの巨大なクラスを作り、そこでゲームを遊ぶ様子が今最も注目されるコンテンツの一つになったのです。
CRカップの成功により、同様の大会が他社でも催されるようになり、一層インフルエンサーは単独のカリスマだけではなく、インフルエンサー同士の繋がり、『仲の良さ』も重視されるようになりました。こうしたことも、いかにファンが自分たちの人間関係の延長線上に、少なくとも極めて身近な世界観で、インフルエンサーを認識しているかよくわかると思います」
小学生の間で“オリジナルキャラYouTuber”の人気が増加していることの背景には、こうした大人も含めたコンテンツの盛り上がりがあると言えるのではないだろうか。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)