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カミングアウトした小学校講師が考える「LGBTQ+を子供にどう教えるか」

性的少数者に関する情報発信を行なう小学校講師の鈴木茂義さん

性的少数者に関する情報発信を行なう小学校講師の鈴木茂義さん

「私にはパートナーがいますが、日本では結婚できないです。なぜでしょう」。約60人の小学校中学年の子供たちを前にそう問いかけるのは、性的少数者に関する情報発信を行なうLGBTQ+センター「プライドハウス東京レガシー」のスタッフを務める鈴木茂義さんだ。

「LGBTQ+」とは性的マイノリティの総称。「L=レズビアン」「G=ゲイ」「B=バイセクシャル」「T=トランスジェンダー」「Q=クエスチョニング/クィア」、「+」は多様な人々を包摂する意味がある。

 子供たちは首を傾げながら、思い思いの答えを口にする。

「他の人と結婚しているから」「動物だから」「相手はお母さんだから」「もう好きじゃないから」

 答えが出揃ったところで「正解は、パートナーが男性だからです」と伝えると子供たちはびっくり仰天。「えー!」と大きな声を上げ、鈴木さんをまじまじと見つめる。「キモ」という小さなつぶやきも……。

「こんなふうに大きなリアクションを見せてくれたのは、3年くらい前までです」

 一体どういうことなのか。

「最近は質問した瞬間に“相手が男性だから”と子供たちが一発で当ててしまうんです。嬉しい反面、授業の展開を変えなきゃいけないと思っています(笑)」

 日本における性的少数者(性的マイノリティ)の割合は日本労働組合総連合会の調査によると約8%と言われており、「およそ13人に1人」ということになる。AB型の割合が約10%、左利きの割合は約11%であることを考えると、決して“稀”ではない。

 今でこそ映画や漫画、テレビなどで取り上げられる機会が増え、状況は変わってきているが、学生時代には辛い思いもした。

「小学生の頃、自分が性的マイノリティであることを前向きに受け止められるタイミングはありませんでした。テレビでもゲイのことは“ホモ”と呼ばれ、揶揄する対象だった。もし友人や家族に打ち明けたら、“オカマ”や“男オンナ”と言われるんじゃないかと思うと怖かった」

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