いつまでパワーカップルでいられるのか
しかし、これはたいへん危険だ。まず、いつまでいまのパワーカップルを続けられるのかという問題がある。
子どもはつくらないと考えていても、いつ欲しくなるか分からない。妊娠・出産・子育てとなると、収入が一時的にしても大幅に減少するだろうし、ひょっとしたら、その状態が5年、10年と続く可能性がある。その間、それまで通りの住宅ローン返済を行っていけるのかどうか、疑問が残る。
それに、共働き世帯ではどちらかの収入が減ったり、無くなったりするリスクは2人分あり、専業主婦(主夫)世帯に比べて2倍という考え方もできる。だから、最悪の場合を想定して、どちらかの収入だけになっても、貯蓄の切り崩しなどによって、一定期間は何とか返済を継続できる準備をしておく必要がある。
さらに、離婚のリスクも考えておくべきだろう。厚生労働省の『人口動態統計』の2019年度版によると、年間の婚姻件数約58万組に対して、離婚件数も21万組に達している。単純に比較はできないが、3組に1組以上は離婚する時代といってもいいかもしれない。
しかも、人口の減少によって婚姻件数は大幅に減少しているが、離婚件数はむしろ増加傾向にあり、欧米並みの離婚率に近づきつつある。
共働きであれば、共有名義で取得しているだろうから、離婚となると名義をどうするのか、ローン支払いをどうするのか、たいへん面倒な手続きが発生する。