火山灰が首都圏全域を覆う
健康被害も予想される。火山灰はサラサラしているが、その“正体”は、マグマが微粒子になった薄いガラスの破片。少量でも鼻や喉に入れば傷をつける。目に入って角膜が傷つけば、場合によっては失明する危険性もあるという。
交通網への影響も深刻だ。仮に鉄道が復旧していても、レールの上に火山灰が1mm積もるだけで、鉄道は運行できない。東京や千葉でも、2cm程度の火山灰が積もると予測されている。
「火山灰がエンジンに入るとジェット機も飛べません。東海道新幹線や東名高速道路が寸断されていることに加え、飛行機も飛べなくなるので、物流と人の流れが止まります。火山灰は大量に降ると1か月くらい舞い上がっているので、火山灰を除去する作業が1か月以上も続くことになります」(鎌田さん)
火山灰が舞うなかで自衛隊のヘリも飛ぶことができず、復旧作業は一向に進まない。
そうこうしている間に、地震の揺れにも耐えた建物が、次々に倒壊するという問題が各地で発生し始めた。
「火山灰は重く、10cm積もると1平方メートル当たりの重さは90kgから180kgにもなる。鉄筋コンクリートの建物ならまだしも、木造住宅では重さに耐えきれずに、倒壊する危険性があります」(地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さん)
津波が引いていない地域では、火山灰が水分を吸収した重い泥で埋めつくされ、「もう住めない」と復旧を諦める人が続出するかもしれない。
『日本沈没』で描かれたような惨劇が日本を襲う日は、すぐそこまで来ている──。
※女性セブン2022年1月1日号
