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細木数子さんの提案で改名したおさる 「根底には優しさがあった」

オーラたっぷりの暮らし

今年11月、亡くなった占い師の細木数子さん

 今年11月、占い師の細木数子さんが83才で亡くなった。「六星占術」という占いで知られる細木さんは、1985年に出版した『運命を読む六星占術入門』がベストセラーとなり、その後の著作も合わせると書籍の売り上げは累計1億部を超えている。そして、2000年代前半にはテレビでも大活躍。2004年から放送が開始された『ズバリ言うわよ!』(TBS系)はゲスト出演者に対する歯に衣着せぬ発言が好意的に受け止められ、大人気番組となった。

 そんな細木さんだが、占い師としてひとつの時代を築くまでの道は決して平坦なものではなかった。

 1938年に東京・渋谷に生まれた細木数子さんは、7才のときに終戦とともに父を亡くし、脱脂粉乳をすすり、しらみに悩まされる子供時代を送る。母の経営する飲食店を手伝いながら貯めた資金でコーヒースタンドを開き、その後は銀座のクラブに勤務。通っていた客からプロポーズを受けて結婚するが3年で離婚。その後は芸能プロダクションを設立するなど、さまざまな仕事を経験する一方で、多額の借金を抱えたこともあった。波瀾万丈な半生を経て、ついに六星占術を生み出す。1983年のことだった。

「細木先生との仕事の現場には、常にただならぬ緊張感が漂っていました」

 そう振り返るのは、六星占術の書籍を長きにわたって担当した編集者だ。華やかなムーブメントの舞台裏は、シビアな世界だった。

「とにかく仕事には徹底して厳しかった。当時はテレビのレギュラーや連載を何本も抱えていてまったく時間がなかったはずなのに、“後は任せた”ということが絶対になく、失敗の許されない現場でした」(担当編集者・以下同)

 筋の通った厳格さは日常生活においても同様だった。

「仕事の後、先生のご自宅近くの割烹店で食事を振る舞っていただくこともありました。食事に関しては、“体にいいものを”と和食を基本に、そのときの“旬のものを食べなさい”とさんまの塩焼きやかきフライといったシンプルに調理されたものばかり。

 そこでも箸の持ち方が悪かったり、魚の食べ方が汚かったりすると“それじゃ大物になれないわよ!”と細木節が炸裂。いつなんどきも気の抜けない仕事でした」

 テレビの特番『史上最強の占いバトル 細木数子VSウンナン!』(2004年7月・TBS系)の中で、「おさる」から一時期、「モンキッキー」に改名した芸人のおさる(53才、2020年に再改名)も、共演のたびに「あんたダメ」「もっと勉強しろ」と叱られていたという。

「だけどその根底にはいつも優しさがありました。ある番組で山の中でロケをしている最中に、サプライズで登場したときは、カットがかかるとすぐに先生が『ここでどれだけ待ってたの? 大丈夫だった? お腹すいたんじゃない?』と声をかけてくださったことをよく覚えています。

 改名についても、番組の中で『おさるって名前がよくないんだよな~』と何度も話題に出していただいたおかげで、そのたびに笑いも取れたし知名度も上がった(笑い)。改名した後も、“改名の話題はすぐ消えるから、もっと見聞を広めなさい”“常に勉強だよ”が口癖でした」(おさる)

 おさるは2007年にタレントの山川恵里佳(39才)と結婚。

「改名の後、最初の仕事がテレビ番組で彼女とデートする企画だったんです。そこで改名のことで驚くくらい盛り上がって、“ぼくがこの人に一生ついていこう”と(笑い)。家族ができたのも細木先生のおかげです」(おさる)

「細木先生がいたからいまの自分がいる」と振り返ったおさる

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