いわば遠藤は顔がいい狂言回し。結局、生徒会長には坂本が選ばれ、声をあげない人たちの面倒も見るつもりだと言う。すると亀高は、もともと多数派と少数派に上とか下とかないはずだと指摘するのだ。おお、またしても思いこみがひっくり返された。ニコニコ学園ドラマとは、一味も二味も違うと感じさせられる瞬間だ。
もうひとつ面白いと思うのは、教頭の川相(八嶋智人)のキャラクターだ。学園ドラマの教頭といえば、校長や理事長、保護者にすり寄り、メガネを光らせながら、口うるさく文句を言う敵役が定番だ。川相も問題が起こるたびに「この動画は問題です!」「わが学園は炎上し放題ですよ!」などと騒ぎ立てる。
70年代の『飛び出せ!青春』の穂積隆信、『3年B組金八先生』の早崎文司、『ごくせん』の生瀬勝久などを思い出し、なんか昭和っぽく懐かしいなーと思えるが、これまたよく見ると、亀高先生たちとしょっちゅうテーブルを囲んで生徒について話し合う。教師たちと対立する管理職という単純な構造には、なっていない。
こうなるだろうと思えば、スルリと違う視点や価値観で攻めてくる。顔だけどころか、すごいくせ者。学園ドラマでは、長谷川博己の『鈴木先生』以来のびっくりである。