芸能

田中邦衛さん、共演者が語る秘話「クニさんのいる現場は笑いが絶えなかった」

彼らをけっして忘れることはない(時事通信フォト)

ロケ先の北海道・富良野では、地元の人たちにも自然体で接し、“クニさん”と慕われていた(時事通信フォト)

 2021年はテレビで、本で、歌で……私たちを励まし楽しませてくれた著名人の訃報が相次いだ。人々に勇気や笑顔、そして、幸せを届けた彼らは、どんな言葉を残したのか。在りし日をよく知る人に、思い出に残る秘話を語ってもらった。

 代表作『北の国から』(フジテレビ系・1981年~)で、故・田中邦衛さん演じる黒板五郎と恋仲になるホステス・こごみを演じた児島美ゆき(69才)。田中さんとは、「クニさん」「美ゆき」と呼び合う仲だった。

「クニさんのいる現場は笑いが絶えなかったですね。映画『トラック野郎 一番星北へ帰る』(1978年)で、初めて共演しましたが、きちんとお話をするようになったのは、『北の国から』の頃。

 ロケ現場では、ドラム缶で焚いた火で暖を取りながら、いつもスタッフと冗談を言って、ニコニコとされていましたね。

 私にもテレビで見るのと同じ調子で、『おーい、美ゆき~』と朗らかに声をかけてくれて。

 ロケ地の富良野では、五郎さんの格好のまま、ふらっと町に出かけては、『どこかのお店に(被っていた)ニット帽を忘れてきた~』なんて、茶目っ気たっぷりに言って、スタッフをハラハラさせたこともありました。

 第一線で活躍されていても威張ることなく、誰にでも分け隔てなく気配りできるかた。スタッフの結婚式にも出席されていたようです」(児島・以下同)

 児島は田中さんの人柄を語る上で忘れられないエピソードがあるという。

「これは『北の国から』にも出演していた女優の友人から聞いた話ですが、スナックのママ役を演じていた彼女は、現場で何度も監督からせりふのダメ出しをされていました。何十回もせりふを言い直して、すっかり自信をなくしていたときに、クニさんは、彼女の背中をポンポンと叩きながら、『おーい、元気出せよ。大丈夫だよ、大丈夫だよ。監督もあんなふうな言い方をしてるけど、いいんだよ、気にするなよ』と声をかけてくれたそうです。その話を聞いて、その言葉に私も救われたような気持ちになって、思わず涙が出ました」

シリーズのスタート

『北の国から』シリーズも記念すべきスタート。あどけなさが残る純と螢をみる顔つきは父そのもの

 脚本家の倉本聰さん(86才)も田中さんには絶大な信頼を寄せていたという。

「五郎さん役は、クニさんのほかに、4人ほどの候補がいたそうですが、倉本先生はクニさんでなければ『北の国から』はなかった、といつもおっしゃっていました。クニさんが施設に入られてから、一度、倉本先生はお見舞いに行かれて、そのときも、『クニさんはおれのことはわかってくれたんだよ』と、喜んでいたと聞きました。

 クニさんのことを悪く言う人は本当に誰もいません。褒め殺しみたいで、悪口の一つや二つも言いたいのに(笑い)。優しくしていただいた思い出しかない。あんなに共演者からもスタッフからも愛された人は、なかなかいらっしゃいませんね」

【プロフィール】 児島美ゆき/2019年『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)に出演のほか、歌手としても活躍。

※女性セブン2022年1月6・13日号

『北の国から』で印象深かったのが、いかだ下りのシーンだという

『北の国から』で印象深かったのが、いかだ下りのシーンだという 児島美ゆき

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン