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朝日杯FSのポイント 多頭数のレース対応、距離短縮をどう見るか

阪神競馬場

阪神競馬場のパドック

 キャリアの少ない2歳馬による覇権争い。予想は難解になりがちな分だけ、馬券的妙味はあるといえそうだ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

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 重賞やオープン勝ちがあれば文句なし。重賞連対、あるいは1勝クラスに勝っていればOK。1勝馬も抽選で何頭か出走できるという伝統の「朝日杯」。2017年にホープフルSがGⅠになってからはマイラー志向の2歳馬のレースになっているためか、前哨戦も小頭数になることが多い。多頭数のレースに対応できるかがカギになる。

 セリフォス、ジオグリフ、ダノンスコーピオン、ドウデュース、カジュフェイス、ドーブネの6頭は前走で重賞・オープンを勝っているが、いずれも10頭に満たない小頭数のレースだった。楽な競馬とは言わないが、負かすべき相手が少なかったことは事実だ。

 過去10年の連対馬20頭の前走を見ると、17頭が前走10頭以上のレースを経てきている。もちろん2019年のサリオス(前走9頭)や2018年のアドマイヤマーズ(前走9頭)のように、3歳秋に古馬相手の重賞を勝つような馬は、多少頭数が増えても関係ないのだろうが、なにしろキャリアの浅い2歳馬。包まれて動けないとか、馬群をさばけるのかとかいうことだけではなく、パドックやゲートイン前の輪乗りの時の賑やかさに戸惑うことも十分ありうる。セリフォスやダノンスコーピオンの陣営でも、少なからず「頭数が増えること」を気にしている。

 マイルで無類の強さを見せたグランアレグリア(前走8頭)でさえ、朝日杯では他馬を気にしてバランスを崩すシーンがあって3着だったし、2017年はその後GⅠ馬となるケイアイノーテック(前走9頭)、ダノンスマッシュ(前走8頭)はこのレースで馬券圏外に敗れている。この時の1、2着馬ダノンプレミアム、ステルヴィオは前走のサウジアラビアRCで18頭立てのレースを経験していた。昨年も前走で8頭立てのデイリー杯2歳Sを勝って1番人気に推されたレッドベルオーブが3着に終わっている。前走が小頭数だったことがすべての敗因ではないだろうが、パドックや馬場入場時の気配などをチェックしたい。

 前走からの距離短縮も気になるところ。人気になりそうなジオグリフ、このレースを勝てば全GⅠ制覇にリーチがかかる武豊騎乗のドウデュースは、ともに1800mで2戦2勝、ダノンスコーピオンも前走1800mだった。外回りの阪神コースでこそということだろうが、1800mで結果を出しているのならホープフルSの方が適鞍のような気がする(一方サウジアラビアRCなどマイルで2戦2勝のコマンドラインはホープフルSに登録している…)。

 過去10年、前走からの距離短縮で勝ったのは2015年のリオンディーズだけ。前走は2000m新馬戦で、道中はじっくりと後方でレースを進め、先に抜け出した単勝1.5倍のエアスピネルをゴール前で差し切った。平成以降、デビュー2戦目で勝ったのはこの馬だけだ。

 しかしリオンディーズは翌年のクラシック戦線で結果を出すことができなかった。管理した角居勝彦調教師は著書『競馬感性の法則』(小学館新書)で、マイルを使ったことで〈微妙に掛かりグセが顔を出し〉たと回顧している(〈〉内は同書より引用)。〈すべての原因が「このレースを使ったこと」とは言えませんが、できるなら将来マイラーとして大成しそうな馬こそ、ここを使うようにしたい〉。

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