金沢─七尾間の普通列車として走った415系(早稲田大学鉄道研究会)
【9位(同率)】石川・七尾線から「415系」「413系」が引退
第9位には北陸を走った車両の引退がランクインした。輪島塗をイメージした茜色の415系と413系は、いずれも七尾線の普通列車として、主に金沢駅と能登半島の七尾駅を結んでいたが、3月のダイヤ改正をもって新型車両に置き換えられた。
当車両は、約半世紀前の国鉄時代に製造された車両を改造した形式で、鉄道ファンの間では最後の急行型車両として注目を集めていた455系を含む編成もあった。新型車両の導入により、快適性が向上したり、ICカードの利用が可能になったりした一方で、朝夕の6両編成が4両編成に短縮されたため、輸送力の低下が心配される。引退した一部の車両は、国鉄色に塗り替えられ、えちごトキめき鉄道で観光列車として再び走り始めている。
日高本線の様子(早稲田大学鉄道研究会)
【9位(同率)】 北海道・日高本線、鵡川駅以南が廃線に
そしてもう一つ、同率9位に北の大地の廃線という悲しいニュースがランク入りした。北海道の苫小牧駅と様似駅を結ぶ日高本線において、途中の鵡川駅〜様似駅間が廃止となった。
廃止区間は実に100km以上に及ぶ。鵡川〜様似間は2015年1月に発生した高波の影響で線路が被災し、バスによる代行輸送が行われていたが、今年正式に廃線となった。無論「さよなら運転」も行われず、なんとも寂しい終わりとなってしまった。現在は廃線区間において地域ごとに路線バスが走っているが、これは日高地方における公共交通のあり方が変化したことを表す。
高波の影響を受けるほど海から近くを走っていたのなら、素晴らしい眺望を味わうことができたであろうことは想像に難くない。一度は乗車してみたかった。
以上、「2021年鉄道10大ニュース」を紹介した。今年は車両の引退に関するニュースが多く、変化の大きい1年だったと言える。来年も、鉄道界の動向に注目したい。
◆取材・文・写真/早稲田大学鉄道研究会・会誌『SWITCHER』編集部