ビジネス

接客業の名札は本名であるべきなのか 好きな名前選ばせるコンビニもある

百貨店従業員の胸には名札。店員名札に画像処理(イメージ、時事通信フォト)

百貨店従業員の胸には名札。店員名札に画像処理(イメージ、時事通信フォト)

 カスタマー(顧客)から受ける嫌がらせや過度なクレームであるカスタマーハラスメントを略した「カスハラ」について、小売・サービス業で働く5人に1人が受けたことがあるという調査結果がある(2020年、UAEゼンセン調査)。そのとき、従業員がつけている「名札」が悪用されることが少なくない。著作家で俳人の日野百草氏が、接客業の「名札」は果たして必要なのか、とくにアルバイト従業員は本名を示さねばならないのかについて実態と本音をレポートする。

 * * *
「店員に本名の名札って必要ですかね」

 関東のスーパーマーケット、帰省ついでに旧知の男性店員と話し込むうちSNSの話になる。すると必然的に出てくるプライバシーの問題、多くの一般客は胸に店員の名前の入った名札があること、それが本名であることを当たり前のように思っているが、これが長年の接客業界の悩みのタネとなって久しい。すべての店員が本名を晒す必要はあるのか、と。

「私は必要ないと思うんですど、うちは本名なんですよ。信用がどうこうって古いんです。パートやアルバイトの女性の中には嫌がる人もいるのでなんとかしたいんですけど」

 店員に名札をつけるか、それを本名にするかは業種や経営者によってまちまちだ。たとえばバスやタクシーのドライバーなどは旅客自動車運送事業運輸規則で本名表記が定められている。タクシードライバーの中には「名前を憶えてもらって指名につなげる」という人もいる。一部の宅配便はトラックの後ろに配達員の本名が記載されている。「あれが嫌だからやらない」という軽貨物の配達員もいるが、すべては法令および「信用」を重要視しているのだろう。ただ車内掲示のバスやタクシーと違い宅配便は車外掲示で街中に名前を晒しまわっているようなもの、嫌がる配達員がいる気持ちもわかる。

「似たようなものです。スーパーやコンビニのアルバイトで本名出す必要ありますかね、管理者や正社員ならともかく、名前を憶えてもらっても多くはアルバイトやパートですよ。だから責任は低いとか、それで仕事の手を抜くとかじゃないですけど、昔と違いますからね」

 彼は正社員、まして管理職で名前を出すのは仕方がないと語る。現にこの店では店長や精肉、鮮魚の長は顔写真入りで店内に掲示されている。責任者であり、店の信用を考えればそれは仕方がない。しかし、アルバイトやパートまで本名を晒すというのはどうだろうか。この店では早朝や深夜の品出しのみの時短勤務のアルバイトまで、簡易な手書きとはいえ本名でなければならないという。とくに地方にこうした店は多いが、その意味は果たしてあるのか。

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン