ホテル内の各所に映像や造形、音響作品が展示された
来場者が殺到した企画展の中身
大きな注目を集めた前述の企画展「Standing Ovation | 四肢の向かう先」は、ニューアカオ館の施設全体を会場とし、客室やプールなど様々な場所に、複数のアーティストによる映像作品や造形作品、音響作品などを設置。来場者は受付で渡された冊子に書かれている指示に従い、施設内を探索するように移動して体験する趣向となっていた。
期間中に会場を訪ねると、薄暗い会場はまるで様々な人々の記憶を漂わせた異世界のようで、ニューアカオ館が宿泊施設とは全く異なる見え方へと変貌する。こうした作品が、アートファンを超えて広く話題となったことは、事務局としても予想外の出来事だったようだ。
「ここまで多くのお客様にお越しいただけることになるとは正直思っていませんでした。ニューアカオ館の宿泊営業終了というニュースと共にスタートした展覧会であったので、今までのACAOが積み重ねてきた歴史や功績の恩恵でもあるなと思っています。
特に『Standing Ovation|四肢の向かう先』は、場所が持つ特異性とアーティストたちが表現する作品を絶妙なバランスでキュレーションしてくれた展示となったので、多くの反響を呼んだのだと思います」(同前)
ニューアカオ館は宿泊施設としての営業は終了したものの、これからも様々な形で活用されていくことになるという。
「宿泊事業はニューアカオ館に隣接するHOTEL ACAOが継承し、『アートの力』や『文化性』でもって熱海市を特色ある街にしたいと考えています。
今後もHOTEL ACAOおよびニューアカオ館は、イベント利用やアートの展示といった形での活用を模索していきます。今回の会期後も街にいくつか壁画などを残させていただけることになりました。年を重ねることで熱海の街にどんどん作品が増え、アートが根付き、新しい熱海が見えてくるようになれば良いなと思います」(同前)
熱海復興のシンボルとなるか Artworks by 花坊
来場者は1万人以上。アートイベントは盛況だった