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高田文夫氏が振り返る『笑点』の歴史 番組名の由来、歴代座布団運びなど

長らく関わっていた高田氏だからわかる“笑点豆知識”

長らく関わっていた高田氏だからわかる“笑点豆知識”

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。学生時代にアルバイトで構成に関わった高田氏が、その歴史と豆知識をつづる。

 * * *
『笑点』に桂宮治が入って面白くなりそうな気配(いかんせん前任者が痛々しかった)。放送開始55年を超えたというのだから国民の文化史として少しでも知っておくと座布団の2、3枚ももらえそうだ。

 1965年、談志の持ち込み企画で『金曜夜席』が始まる。夜10時半から隔週で放送。これが評判となり1966年5月から日曜夕方にタイトルも『笑点』としてスタート。諸説あるが多分、当時三浦綾子の小説『氷点』が大ブームとなり、連続ドラマもヒット、それにあやかっての駄ジャレ『笑点』であろう。18歳の私は日芸の落研に入り、楽しく見ていた。

 いま国民のほとんどの人は知っていることだがスタッフのテロップに大勢の構成と名乗る放送作家がいるがあの人達は皆な“大喜利”の問題と答えを考えているのだ。そのネタに演者はアレンジを加えたりして答えている。

 誰も即興で答えてるなんて今や思っちゃいない。大学に入った私は都内の落研の有能な連中を『笑点』の作家から集められて、実は毎回答えのギャグを考えるバイトをしていた。私やら田島(のちの古今亭右朝 52歳で早逝した名人)ら6人程。あくまでも談志はブラックユーモアにこだわるので、せっせとブラックなネタを書いた。バイトの中ではやはり私のが一番採用率が高かったと思う。きついジョークの良し悪しが出演者達と談志の間でぶつかり、談志はすぐに司会を降りてしまう。

 二代目の司会は放送作家からタレントになった“マエタケ”こと前田武彦(1969~1970年)。噺家と作家では“間”も違ってうまくいかず。

 三代目、ご存じ三波伸介(1970~1982年。亡くなるまで)。三波は当時TV界の座長とも言うべき人物で私は座付き作家として週2本のレギュラーをずっと書きつづけた。勿論『笑点』の愚痴もきかされた。

 司会者が亡くなってしまったので四代目は円楽に(1983~2006年)。「ガハハ」と笑い「星の王子さま」なんて言っていた師匠だ。五代目が歌丸、そして現在六代目が昇太という訳だ。回答者同士のバトルで一番盛りあがったのは歌丸vs.小円遊だろう。「ハゲ」「バケモノ」とやりあう呼吸はおみごと。

“笑点豆知識”として収録は隔週2本撮りで「後楽園ホール」。1996年までは40分番組で「演芸」「ゲスト対談」「大喜利」だったが、今はご存じの通り「演芸」「大喜利」の30分。『笑点』の題字(寄席文字)は橘右近から左近へ。座布団運びで名をなしたのは毒蝮三太夫と交通標語をいつも言う松崎真。司会の三波から「玄界灘の鬼ヒトデ」と紹介されていた。その前に米助が短くやっていたのは当人しか覚えていない。日テレに資料もない。

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2022年2月4日号

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