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大病、コロナ禍を経て… 作家・伊集院静氏の視線の先にある旅への憧憬

伊集院静氏がもし旅ができるなら訪れてみたいという、スペイン・バルセロナ(右手に見えるのがミロ美術館のあるモンジュイックの丘。撮影:宮本敏明)

伊集院静氏がもし旅ができるなら訪れてみたいという、スペイン・バルセロナ(右手に見えるのがミロファウンデーション美術館のあるモンジュイックの丘。撮影/宮本敏明)

 いまなお続くコロナ禍において、「旅」という言葉が、以前のようなリアリティを失ってしまっているとしても、「旅」の魅力は尽きないし、「旅」することを、いまかいまかと待ちわびている人が多いのも事実だろう。

 そんななか、かつて1年の大半を、国内外を旅して過ごしたと語っていたほど、こよなく旅を愛する作家・伊集院静氏がシリーズ第3弾となる『読んで、旅する。旅だから出逢えた言葉III』を刊行した。伊集院氏は一昨年、くも膜下出血という大病をし、二度の手術を経た後、奇跡の復活を果たしているとはいえ、世界はコロナ禍からまだ抜け出せておらず、以前のように自由に旅するということができる状況には戻っていない。

 それでも、もし旅ができるなら、どこへ行ってみたいか。同書の中で伊集院氏は〈──やはり、叶うとすればバルセロナに行ってみたいかもしれない……。(中略)バルセロナで何を? できればモンジュイックの丘を訪ね、ミロファウンデーション美術館に行き、“ブルー”と題されたミロの作品をゆっくり鑑賞すれば、これまでに気付かなかったことに気付くかもしれない〉と綴っている。

 近い将来、アフターコロナの「旅」をすることによって、どのようなことを感じるのかは、その時になってみないとわからないが、誰しも、おそらく以前とは全く違った風景を見て、新たな世界を感じることになるのではないだろうか。

〈旅は読書と似ているところがあり、初めて読んだ時はその本に書かれてあることが明確に見えないが年を隔てて読み返すと、思わぬ発見があるものだ。人生の経験(失敗でもいいが)を積まないと見えないものは世の中にたくさんある〉(文庫版『旅だから出逢えた言葉II』より)

 そう綴られている通り、人類は「旅」と「読書」(学ぶこと)することによって、謙虚に真摯に「思わぬ発見」をし続けなければならないのかもしれない。

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