芸能

黒木華『ゴシップ』 ドラマの話題自体がPVを稼ぎ出せないのはなぜか

番組公式サイトより

番組公式サイトより

 物語が走り始め、そろそろ評価が定まってくるタイミングである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 ドラマ『ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系木曜午後10時)で主演をつとめている黒木華さん。黒木さんといえば、一見古風な顔立ちでほんわかした温かな雰囲気が漂うけれど、今回の主人公・瀬古凛々子という役はそのイメージを打破するようなシャープな人物像です。

 いつもダークな色調の装いで表情も抑えぶつきらぼうでとっつきにくい。が、内面は真実を追究する熱血者。困難な局面を打開し「カンフルNEWS」の閉鎖危機を救うべくPVアップに奮闘する凛々子。まさしくカンフル剤となって編集長に抜擢される。

「まっすぐに生きている人はかっこいいなと思います。自分に素直に、嘘のない生き方をしている人は、芯があって美しい。日々の生活や内面は、目や表情に表れると思うんです。自分もなるべくそうでありたい」(「FRaU」2022年1月号)と語る黒木さんですが、今回のドラマの主人公とも重なる部分がありそう。

 ドラマを見て拍手喝采、スカッとしたいのですが……どこかモヤモヤしてしまうのはいったいなぜでしょうか? 

 ネット上の盛り上がり具合も今一つ。ドラマの話題自体が「PV」を稼ぎ出せていないとすればあまりにも残念。ドラマの設定に課題があるのか? それともキャラクター造形でしょうか?

「空気が読めないが洞察力が鋭い」という設定の凛々子。取材をしながら事実をつかみ取っていくが、それは果たして正義感からなのか、それともPVを獲得しようとする野心からか。このドラマはマスコミのあり方を批評しようとしているのか、ネットニュースという仕事の現場を紹介しているのか、あるいは根津(溝端淳平)との恋愛か、働く女性の自己実現と格闘なのか。今のところ、いずれの要素も中途半端な印象に留まっています。

 はてさて、凛々子という人物を通して描こうとしていることはいったい何か? それが知りたい。

 もしお仕事ドラマだとすると……肝心なところでリアリティに欠けるのが残念。例えば離婚した俳優が出演する舞台の会見場で、いきなり「お2人に性的な結び付きはいつまであったのでしょうか?」と質問する記者が現実にいるかどうか。仕事としてそれが成り立つか。

 凛々子はその質問の根拠として鞄から分厚い辞書を取り出す。

「『夫婦とは人格的、情緒的、性的に結び付きを持ち社会生活の上で協力する親密な関係の事』と書かれた辞書がありますが……」と語るあたりも不可思議です。

 今やスマホの検索で様々な日本語辞典から百科辞典まで言葉の定義も含めて調べることができる時代。記者は情報を扱うプロであり、取材で駆け回る人がわざわざ分厚い辞書を持ち歩くのも謎。ドラマなのでリアリティがすべてではないとしても、細かな点でエンタメとして白けてしまっては元も子もない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

5月に入り病状が急変し、帰らぬ人となった中尾彬さん
【中尾彬さん逝去】数か月体調優れず、5月に入って容体が急変 葬儀は近親者のみ、妻・池波志乃さんは憔悴しながらも参列者に感謝
女性セブン
全国赤十字大会ではスピーチに目を潤ませる場面もあった(4月、東京・千代田区。写真/JMPA)
『虎に翼』を楽しんでいらっしゃる雅子さまと愛子さま 女性天皇への期待高まるなか、揺れるお立場に「日本初の女性弁護士の物語」を重ねられて
女性セブン
女子ゴルフ界の新星として注目を集める清本美波
【プロテストでトップ合格】女子ゴルフ界の新星・清本美波、女子大生と二足のわらじを履く18歳「目標はタイガー・ウッズ」
週刊ポスト
詐取の疑いで逮捕された元宝塚“大滝子”こと光原エミカ(HPより)
《『水ダウ』ざます企画に出演》元宝塚・月組トップスターが現金1000万円詐取の疑いで逮捕「ディナーショーが8万円に値上がり」ファンが察知した違和感
NEWSポストセブン
杉咲花と若葉竜也に熱愛が発覚
【初ロマンススクープ】杉咲花が若葉竜也と交際!自宅でお泊り 『アンメット』での共演を機に距離縮まる
女性セブン
亡くなったシャニさん
《7か月を経て…》ハマスに半裸で連行された22歳女性が無言の帰宅、公表された最期の姿「遺体の状態は良好」「肌もタトゥーもきれいに見える」
NEWSポストセブン
中尾彬さん(時事通信フォト)
《“ねじねじ”で愛された中尾彬さん(81)が急逝》大病を機に始めていた“終活”、コワモテ俳優からコメンテーターとして人気を博した晩年
NEWSポストセブン
フジコ・ヘミングさん(撮影:中嶌英雄)
《フジコ・ヘミングさん追悼》「黒柳徹子さんがくれたお土産」「三輪明宏さんが家に来る時は慌てて…」密着した写真家が明かす“意外な交友関係”
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン