強い言葉で視聴者の注目を集めた細木数子さん
一方、『突然ですが占ってもいいですか?』も最初は木下レオンさんを中心に強烈な物言いで番組を引っ張ろうとしていましたが、徐々に路線変換。メインの占い師は女性らしい柔らかさを持ち、過去や現在をズバズバ当てる星ひとみさんに代わり、ソフト路線になりました。
かつての占い師は未来の占いを押し出していましたが、同番組は星さんを中心に「過去や現在を当てて説得力を得た上で、その人の本質や悩みに迫っていく」という形に変わったのです。
今や視聴者の感覚は、「未来だけを語る占い師はあやしい」「過去や現在を言い当てたら信用できる」であり、制作サイドはその点を重視して占い師をキャスティングし、それが伝わるような構成・演出を徹底。タレントたちは意外な経歴、辛い過去や失敗談、知られざる人間関係や感動秘話などを引き出される形で、視聴者に驚きや共感を与えています。
タレントにしてみれば、「自分からは言わない、言いづらい」ことも、占い師が口火を切ることで語りやすくなり、イメージアップや親近感アップにつながりやすいのもポイントの1つ。そのため「この人が占い番組に出演するの?」と思うくらいの大物俳優やアイドルなども前向きな姿勢で出演していますし、彼らで視聴率を稼ぎたい制作サイドと狙いが合致しています。
出演番組が大きな注目を集めた
新たなスター占い師候補が続々登場
次に特筆すべきは、カリスマ占い師の存在。それぞれ主に、『突然ですが占ってもいいですか?』には、星ひとみさん、木下レオンさん、シウマさん、ぷりあでぃす玲奈さん。『占いメガネ』と『占いリアリティショー どこまで言っていいですか?』には、暮れの酉さん、法演さん、叶ここさん、斗弥さん。『いま、好きな人いる?~ミライのための恋占い~』には、ゲッターズ飯田さん、星ひとみさん、CHIEさんが出演しています。
いずれも占い好きの人々にとってはカリスマであり、高い的中率を誇る占いとともに、キャラクターも多彩。人情派、クール、ユーモア、癒し系、イケメン、美女など、外見や話し方などの異なるさまざまなタイプがいて、彼らの占いそのものがエンタメ化されています。
さらに占い師たちが所属するプロダクションの動きも活発。たとえば、占いコンテンツを提供し続けてきたザッパラスが吉本興業と共同で「Luck Out」という会社を設立して、『占いメガネ』と『占いリアリティショー どこまで言っていいですか?』に占い師を送り込んでいます。
また、占いバラエティへの出演をオンラインでの占いや本などの販売につなげて確実に収益を挙げるビジネスとしての狙いも見逃せません。昨年11月に大御所の細木数子さんが亡くなり、新たなスター候補が次々に現れていることは新たな時代の幕開けにも見えますし、制作サイドにとっても起用したくなる存在になっているのでしょう。