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石原慎太郎氏の発言から振り返る「無気力な若者」に感じていた危機感

都内の高校を視察することもあった(写真は2000年、時事通信フォト)

都内の高校を視察することもあった(写真は2000年、時事通信フォト)

 石原慎太郎氏が2月1日に亡くなった(享年89)。石原氏の言動には、批判はあれど誰も無視することができない力強さがあった。『週刊ポスト』にだけ語っていた「金言」「暴論」を振り返る。

 * * *
 石原氏が日本を憂いたのは、「どんどん若い人がダメになってきた」(2012年1月13・20日号掲載。インタビュアー・吉田豪氏)からでもあった。

 日本の若者たちが堕落した理由を石原氏はこう語った。

「日本のアイデンティティは何かと問われると、今は『我欲』しかない。金銭欲、物欲、そして性欲。それは衝動的な感情にすぎないが、それを増幅し、媒介しているのが携帯、あるいはパソコンです。テレビでは、温泉、グルメ、お笑いばかり。これは好ましいことではない」(2011年2月25日号掲載)

 戦後日本では、公的な欲求より私的な欲求を満たすことが優先された。その欲求は個人的なツールである携帯やマスメディアによって増幅され、画一化された個人が肥大化する時代になった。特に心配なのが若者の元気のなさだ──そう指摘する石原氏は、なぜ無気力で画一的な若者が増えたのかを問われて、こう答えた。

「端的にいうと、60年間戦争がなかったからですよ。戦争がないのは有り難いことだけど、つまり国や社会全体が緊張した瞬間が一度もなかった」(2005年1月14・21日号掲載。インタビュアー・田澤拓也氏)

 戦後、アメリカの核の傘に入って経済成長を謳歌した日本は、国全体に「平和の毒」が回って緊張感がなくなり、若者を中心に無気力ムードが蔓延したとの見解である。

 では、我欲ばかりの若者をどう教育すればいいか。石原氏の掲げる対策は刺激的だった。徴兵制のある韓国の若者と日本の若者は人生に対する積極性がまるで違うと主張した上で、次のように語った。

「若者を救うためには、軍役に就かせるか、あるいは警察、消防、海外協力隊でもいいが、連帯作業の役務に就かせて修練させる制度が効果的だ。

 携帯、テレビ、パソコンのバーチャルな対人関係によって、あまりにもひ弱になってしまった者たちには、意思に反して強いられる肉体的制約が必要なのです」(2011年2月25日号掲載)

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