国内

着こなし、装飾品、色使い…上皇后美智子さまに学ぶ「本物の上品さ」

サイパン島をご訪問された2005年、先端が黒の靴を履かれた

サイパン島をご訪問したた2005年、先端が黒の靴を履かれた(写真/雑誌協会代表取材)

 令和の御代がわりから、もうすぐ丸3年。いまもなお変わらぬ輝きを放つ上皇后美智子さまの「上品さ」の源はいったいどこにあるのか。美智子さまの「着こなしや身につけられた品々」を拝見すると、「洗練された大人の女性」へのヒントが見えてきた──。

「シンプル&チラ見え」が輝かせる上品さ

 ファッション評論家・石原裕子さんは「シンプル」と「チラ見え」を美智子さまの上品さのキーワードとして挙げる。

「美智子さまは華美になりすぎることのないように、光沢のある布づかいやアクセサリーなどの小物を上手にお使いになって上品な装いにされています。涙形のパールのイヤリングがお気に入りで、シンプルな装いの中のアクセントになっています」(石原さん・以下同)

 アクセサリーひとつで印象は大きく変わる。「大人の女性はシンプルなものを選ぶのがおすすめ」と石原さんは言う。

●2005年6月 サイパン島ご訪問

ブレスレットをされていた

エレガントにブレスレットをされていた(写真/雑誌協会代表取材)

「左手に時計、右手にブレスレットという、美智子さまの鉄板コーデ。手首ぴったりサイズのバングルがお好みです。お手振りのときにチラッとのぞき、エレガントさが演出されています。針金のような細さが辛口です。

 シャネルによく見られる、先端が黒に切り替わっている靴。履き口はベージュで足の延長のように見えるので、足が長く見える効果もあります」

●2017年1月 葉山御用邸ご滞在

葉山御用邸にご滞在されたときのコーデ

葉山御用邸に滞在されたときのコーデ(撮影/黒石あみ)

 上皇さまとお揃いのニットの手袋、大きなポケットのジャケット、黒のスニーカーでカジュアルさを演出。

「カジュアルな中でも襟元に見える『とき鴇色(桜色より濃く、桃色より薄い色)』のスカーフがはっとするほど美しく、女性らしさがグッと増しています。甘辛のメリハリをつけた上品な装いには脱帽です」

襟元もお美しい

襟元もお美しい(撮影/黒石あみ)

“控えめカラー”で周りを立てる

「美智子さまのファッションは基本、辛口。ですが、美しい色をチラ見えさせ、甘辛のメリハリをつけています」

 退位礼正殿の儀でお召しになったドレスは、その“集大成”といえるほどの美しさを放っていた。

「それ以降はグレーなどの落ち着いた色が増え、いまの両陛下に席を譲られたということを、服装でも表されているのではないでしょうか」

 そうした「お心遣い」は、海外のご訪問時にも。

「ご訪問先のお相手への配慮がとにかく細やか。コサージュや帽子に訪問国の国旗の色をあしらった花をつけるなど、随所に工夫が見られます」

 では、美智子さまのような上品な装いのポイントとは。

「肌をあまり露出しないこと、インパクトの強い柄ものなどはおすすめできません。シンプルなものを組み合わせ、イヤリングなどの小物で変化をつければ気品も生まれるでしょう。美智子さまのようなラウンドや四角い襟元ならすっきり装えます。細い帯締めのようなベルトを選べば、上品になると思いますよ」

●2017年4月 春の園遊会

園遊会では和装で

園遊会では和装で(写真/雑誌協会代表取材)

 茶室の壁をイメージさせるような白茶色から淡い藤色へのぼかしの和服をお召しに。

「美智子さまは微妙なお色目をお召しになることが多く、まるで一幅の絵のようになるほどに色を抑えられています。控えめな藤色の帯留めがアクセントになっていますね」

●2019年4月 退位礼正殿の儀

退位礼正殿の儀ではドレッシーに(写真/共同通信社)

退位礼正殿の儀では美しいドレス姿(写真/共同通信社)

「退位の際のドレスは、美智子さまのファッションのよさが随所に見られる本当に美しいものでした。天女の羽衣のようなストール、銀から白のグラデーション、ため息が出るような素晴らしさです」

●2019年4月 皇居周辺をご散策

千鳥格子のジャケットを着られた

千鳥格子のジャケットをお召しに(撮影/横田紋子)

 腕を組まれて歩き、仲睦まじいご様子が伝わってくるおふたり。

「トップスとパンツはシルクトリコット。千鳥格子のジャケットには四角いバックルのベルトをなさり、上皇さまのブルゾンとともに素敵なカジュアルを楽しんでいらっしゃいます」

 さらに訪問相手に合わせた「心遣いファッション」も特徴だ。

●2016年1月 フィリピン・マニラでの晩餐会

フィリピンの晩餐会では光沢あるお召し物だった

フィリピンの晩餐会では光沢あるお召し物だった(写真/AFLO)

 光沢のある白から黄色、ひわ色(黄色の強いもえぎ色)のぼかしが美しいドレスをお召しに。

「背景に飾られた蘭の花に合わせて、胸元には蘭のコサージュをご選択。お隣のアキノ大統領の白い服とのバランスもお見事。お持ちのシャンパンの色まで考慮されたかのような繊細なお心遣いです」

【プロフィール】
石原裕子/皇室をはじめ、装いに幅広い知識を持つファッション評論家。美智子さまなど女性皇族方の、お務めの内容や歴史的背景も考慮した解説に定評がある。

※女性セブン2022年2月17・24日号

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン