1989年5月、学生と市民たちは、民主化を求めて天安門広場で大規模な集会を開いた。6月4日、「北京の春」と呼ばれた民主化要求デモに対し軍隊が武力行使し多数の死傷者を出す「天安門事件」が起きた(AFP=時事)
「故郷は好きですが中国共産党は好ましく思っていません。もちろん普段は口にしません。日本に渡るしか無かった昔の世代はそうでしょう。天安門事件もありました。それにやっぱり貧しかった。でも日本で商売をしようと最近来るような若い中国人や家族は中国共産党を誇りに思うというか、愛国心が強いように思います。私からすると、変な中国人なんです」
中国人のすべてではないが、基本的に中国人は国を信用しない。徹底した個人主義であり、中国人は中国人をもっと信用しない。ただし利害の一致する相手、もしくはお金をくれる人のためには全力で尽くす。案外とアメリカと貿易でうまくやっているのはお互い似た者同士な部分もあるのだろうが、現代の覇権的なグローバリズム経済にはシンプルに適っている。それにしても「中国人に愛国心」とは。
「若い世代は中国が途上国だった時代を知りません。仕方ないです。古くからの在日同胞も面白いね、と言っています」
彼も大陸を愛しても中共の支配する国そのものは愛していない。反体制とはいかないまでも、いまの50代後半の在留中国人の中には激動の時代に青春を送り、日本に渡らざるをえなかった人がいる。
「いまどきなのでしょう。幹部の子でもないしコネもないのに中国共産党を心から支持する人たちです。(コロナ前から)語学学校にいっぱいいるでしょう」
その新たな在留中国人、中国資本や協力する日本のブローカーの噂は耳にするが、筆者の知る限りいまだに貧しいままの中国東北部や四川の農村部、漢民族以外の中国籍の人々が来ている。もしかして国策で取り組んでいるのではないか。
「それはわかりません。でも日本人が『そんなことまで』という分野まで細かく取り組んできたのが中国共産党です。ありえないとは言えないです。党はとても怖い存在です。一般人でも容赦なく捕まえます」
もうかなわないよね、お金もってるし
貿易戦争に連戦連勝、世界の穀物や半導体を金の力で買い占める超大国は貪欲で容赦がない。日本の種子や水どころか牛の精子まで手に入れた。海外で当たり前のように見かける和食店の多くも中国資本で、いまや日本人を雇って大々的に展開している。冒頭の不動産営業マンの談。
「これは前からだけど潰れたコンビニとか使う場合もあるね。居抜きじゃないけど広いし他に使いようもないって物件も多いからさ。都心じゃ少ないけど都下や関東あたりには多いでしょう」
確かに筆者の住む多摩も元コンビニの中華料理店は点在する。どこも極めて庶民的で安い。この件でいくつかの店舗にあたってみたが、全員口が堅いのか無視するかやんわり拒否されてしまった。これまで中国人のお店の人はおしゃべりで、どこから来たとか身の上話含め聞いてもいないことまで話す人が多い印象がある。言い方は難しいがこれまでと違う印象、いずれも話したがらない。日本人との接客以外の接触を避けているようにも思える。
「(中国資本の)オーナーに雇われてるだけだろうね。オーナーは本国にいるかもしれない。でも中華料理屋が目立つけど知らないだけで、最近の出店テナントは中国資本多いよ」