1994年7月、小型ボートを使って巡視船へ移送される集団密入国の中国人たち。蛇頭は主に中国福建省を拠点とする密入国を斡旋するブローカー犯罪組織だった(時事通信フォト)

1994年7月、小型ボートを使って巡視船へ移送される集団密入国の中国人たち。蛇頭は主に中国福建省を拠点とする密入国を斡旋するブローカー犯罪組織だった(時事通信フォト)

愛国心が強い「変な中国人」

 先に触れた通り2020年、筆者は最初の緊急事態宣言下の新宿歌舞伎町で廃業店舗が中国人経営者の店になる経過を取材している。その時も「言い値で、面倒なことを言わない」とテナント仲介会社は語っていた。なにしろ当時は補償も心もとなく(いわゆる協力金第1弾)緊急事態宣言による撤退や廃業で疲弊していた時期、もう忘れた人もいるだろうが、小池百合子東京都知事まで「夜の街」バッシングを煽るような言動で物議を醸していた。経験のない疫禍とはいえ都の初動は最悪だった。これをきっかけに外国人、とくに中国資本に変わった店もある。旧コマ周辺の一等地すら派手な中国系の店が増えた。

「まあ池袋に限らず都内あちこち増え続けてますね。とくに池袋は中華街計画もあったので中国人には馴染みやすいんでしょう」

 もう10年以上も前の話だが、インバウンド需要を目的に池袋では「中華街」を作ろうという話が持ち上がり、当初の計画通りの規模とはいかなかったが「池袋リトルチャイナ」と認知されるようになった。なので今さら感もあり筆者は池袋に触れて来なかったのだが、コロナ禍に雨後の筍のように増殖する中華系資本の店舗はその10年以上前のそれともまた違う。まるで何かの指示があるかのように一斉に、突如といった感がある。

 次に池袋ではないが都内で長く中華雑貨店を営む在日中国人店主の話、文章化するにあたり一部の日本語をこちらで補っている。

「わからない。私たちが来た当時とは違う人たちです。若い人が多いけど家族で雇われて日本で店を開くと聞いてます。交流もありません」

 日本の在留中国人は2020年末の時点で77万8112人(出入国在留管理庁)と、いまや福井県や高知県の人口より多い。同胞とはいえすべてと交流があるわけでもないし、あくまで彼の周りの話でしかないが別の都下の中華料理店の華人(日本国籍をとった中国人)も「よくわからない中国人が増えた」と笑いながら話していた。コロナ禍に帰国、あるいは他国への移住も含め、在留中国人そのものは約4万人減ったにも関わらずだ。

「中国のほうが景気もいいし仕事も多い。コロナも気にせず暮らせるからと帰った人は多いです」

 確かに、日本にいる中国人もすっかり様子が変わったように思う。1990年代までは貧しい出稼ぎ中国人ばかりで密航者も多かった。いわゆる「蛇頭」が暴れていたころだろうか。2000年代に入るとIT大国として徐々に力をつけ、いまやアメリカと太平洋どころか世界の覇権を争う超大国となった。主要な太平洋航路は「アメリカと日本」から「アメリカと中国」に変わった。これまで日本で稼いだ中国人はすでに帰国した人もいる。筆者の知る中国人も仕送りの必要がなくなった、あるいはお金を貯めたと帰った。個人的な感想で構わないので、それらと入れ替わりで増えている新たな在留中国人は何が違うのか教えて欲しい。

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