上海浦東国際空港。アメリカのメンフィス、香港に次いで貨物取扱量で世界3位(Imaginechina/時事通信フォト)

上海浦東国際空港。アメリカのメンフィス、香港に次いで貨物取扱量で世界3位(Imaginechina/時事通信フォト)

「やっぱり中国には勝てません。差は広がるばかりです」

 最大の買い占め国家はもちろん中国。金に糸目をつけず、国を挙げて世界中の材を集め続けている。それを支えるのは豊富な資金と、徹底したロジスティクス戦略である。近年の日本は調達リスクを分散する傾向が強く、筆者はこれも収益性の低下の要因と考える。またコロナ禍のような災害ともなれば一気にそっぽを向かれてしまう危険性がある。もちろん調達の分散は中国企業のように札束攻勢をかけられればメリットもあるが、ただでさえ国内のデフレや対外的な円安で買い勝つだけの金が用意できない日本企業、買い負けは必然である。

「でももう少しまともな空港が日本にあれば、と思うんですけど。小さいですよね。仁川くらいの規模があれば、うちもバックオーダーばかり積む必要もないのですが。24時間じゃありませんし」

 実は航空便の要である空港も日本は「敗北」を喫している。筆者は『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』『商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も』『なぜポテトはSのままなのか 日本の港がコンテナ船にスルーされる現実も』では主に食の安全保障と日本の買い負け、そして『コロナ禍でも圧勝のアマゾン 「買い負け」日本との差はどこにあるか』で自前の空港や航空機まで手にする新時代のロジスティクス王、アマゾンについて書いてきた。日本の港が世界ランキングの圏外に沈み、コンテナ線がアメリカと中国のドル箱路線ばかり運行する惨状と同様に、日本の空港もまた中国、アメリカ、そして韓国の後塵を拝している。韓国はともかく、やはりコロナ禍でも経済を回し続けた米中がここでも先んじたな、という印象である。

 それを象徴するかのように2021年の国際空港評議会(ACI)速報値(2020年分)でついに日本の空港は世界の貨物取扱量のトップ10から転落した。1位メンフィス、2位香港、3位上海、4位アンカレッジ、5位ルイビル、6位仁川、7位桃園、8位ロサンゼルス、9位ドーハ、10位マイアミと港同様に中国とアメリカの二大国や韓国、台湾、UAEといった国策でハブ空港を進めた国が入っている。そう、日本にはハブ空港がない。成田空港はハブ空港になるはずだったが、なれなかった。それでも一時は世界一位の貨物取扱量を誇ったが他の空港、とくに韓国の仁川国際空港というハブ空港に取って代わられた。日本の国力の衰退もあるが、主因はやはり空港の規模、あと24時間運用でないこと。

「当時は正義だと思ってました」

 その主因ともなったある活動に参加した70代男性が語る。

「冷戦時代、共産主義革命を日本で起こそうって、当時の私たちは本気で思ってたんです。それを正義だと思ってたんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン