家庭環境や受験の失敗など、なんらかの原因で自己肯定感をうまく持てず、コンプレックスの裏返しで度を越えた自己愛が生まれてしまうこともある。その結果、“自サバ女”になってしまうのだ。
だが本来、“自サバ女”のような存在とは一定の距離を保って接していればトラブルに巻き込まれることはほぼない。これほど“自サバ女”が注目される背景には、人と人の距離感が適度に保たれにくくなっていることが考えられる。
「本来、“半ばフォーマル”な関係であるママ友は、『そういうことあるよね。私も同じようなことをやるかもしれない』という、“お互い様”の精神が最も発揮されやすい関係です。相手を攻撃しようと思ったり、許せないほど腹が立つ出来事は起こりにくいはずなんです。最近のママ友は“半ばフォーマル”な関係よりも距離が近づいているのではないでしょうか」(藤田さん)
子育ての方法やライフスタイルが各家庭で大きく異なり、ひと口に“ママ友”といっても価値感がまったく違うケースがある。複雑な現代のママ友事情が、“自サバ女”との遭遇率を上げているのかもしれない。
絶対に子供を叱らない女
関西で7才の娘と3才の息子を育てる三谷優さん(仮名・34才)が言う。
「息子と同じ保育園に通うCくんは、とにかくやんちゃ坊主。私は息子のわがままがひどいと、つい怒鳴ってしまうこともあるのですが、Cくんママは決して怒らない。Cくんをギュッと抱きしめて、『どうしたの?』と“心の声”を聞いておしまい。最初は、『私もCくんママみたいに、サバサバとスマートに子育てできたらなあ』と思っていました。
ですが、Cくんの乱暴っぷりは目に余るものがあり、友達を叩いたり、突き飛ばしたりするのは日常茶飯事。横で友達が大泣きしていても、Cくんママは毎回“心の声”タイムで抱きしめるだけ。
先日、Cくん親子が生後8か月の弟も連れてわが家へ急に遊びに来ました。Cくんは家中を走り回り、挙げ句、小さい弟をわざと蹴り飛ばしたんです。いつもどおり“心の声”タイムが始まったのですが、Cくんはこの“恒例行事”にすっかり慣れきって母親の話も聞かない。逃げ出して、また走り回ろうとしたので、思わず私が捕まえてCくんをぶん投げてしまいました。他人の教育方針を否定するのはよくないとわかっていますが、がまんできませんでした」
驚いたCくんママは、それ以降、先回りしてCくんの行動を止めに入るようになったという。
“サバサバ系”だけでなく、“ズバズバ系”も存在する。