ただし、もとからの政治家志望ではなかった。皆川巖・山梨県議が出馬の経緯を振り返る。

「義父の堀内光雄さんが引退する時、息子の光一郎さんは富士急の経営があると出馬を固辞したんです。それで困って後援会婦人部が詔子さんを説得したんですよ。それまで子育てで一生懸命でしたから本人も戸惑っていたが、一度決断したら行動力がすごい。

 県議の我々も行かないような地方の小さな行事にも参加し、丁寧に頭を下げる。上場企業の社長夫人で、人に頭を下げなくても幸せな人生を送れるのに、何でああまでできるのか。総裁選の時にも、集会で司会と進行役を引き受けていました。そりゃ岸田さんも恩に着ますよね」

 そして政治家としての評価をこう言う。

「大臣としてまだまだ勉強しなくてはならないことは確かでしょうが、山梨ではすごい人気です」

 派内の評判も悪くない。岸田派中堅議員の話だ。

「堀内さんは人柄がいい。女性議員の中には何にでも“私が”と出しゃばる人や、相手にマウントを取りたがる人、逆に媚びるタイプがいるが、彼女はかつての派閥会長の嫁という立場を振りかざすことが一切なく、むしろ周囲に気を遣いすぎるくらい。経験不足でワクチン対応や拙い答弁を批判されているが、派内の評判は落ちていません」

 だが、国民にすれば、“情実人事”がオミクロン対策の大失態につながったことは間違いない。

※週刊ポスト2022年3月4日号

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