腸内細菌は近年注目度の高い研究テーマだ。1000種類以上の菌によって構成される「腸内フローラ」は様々な疾患、全身の健康との関連が指摘されている。腸内環境の改善には食物繊維の摂取が推奨される印象があるが、なぜ花粉症にはフラクトオリゴ糖なのか。
「たしかに食物繊維でも酪酸菌は増えますが、急激に増やせるのがフラクトオリゴ糖です。普通の食生活で私たちが摂るフラクトオリゴ糖は1日1~3g程度。よほど大量に野菜を食べる人でなければ効果が出るほど酪酸菌を増やすのは難しい。また、オリゴ糖といっても、大豆のオリゴ糖やビートオリゴ糖では酪酸菌は増えないので誤解しないようにしてください」
小柳津氏によれば、フラクトオリゴ糖によって花粉症以外の改善も期待できるという。
「Tレグ細胞以外にも、ウイルスに感染した細胞を破壊するキラーT細胞も増えるので、これが全身に行き渡れば、ウイルス感染を防ぐことができる。インフルエンザ予防や、口内炎、口唇ヘルペス、帯状疱疹などの改善、花粉症以外のアレルギー反応である喘息や痔の改善も期待できます」
花粉症に苦しむ人たちへの救いとなるのか。さらなる研究とメカニズムの解明が待たれる。
※週刊ポスト2022年3月11日号