芸能

“前科者”役の森田剛 “演じる”を超えて生み出す圧倒的リアリティ

(c)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

森田剛が“前科者”を熱演(c)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

 有村架純(29才)が主演を務めた映画『前科者』が1月28日より公開中だ。本作は、有村演じる若手の保護司と、森田剛(43才)らが演じる保護観察対象者たちの交流を描いたヒューマンドラマ。本作で特に注目を集めているのが、“前科者”に扮した森田の演技だ。SNSなどの口コミでは、「森田剛の演技に引き込まれる」「主役かと思うほどの存在感」といった声が見られた。森田の役者としての魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
 本作は、原作・香川まさひと、作画・月島冬二による同名コミックを実写化したドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』(WOWOW)の劇場版で、ドラマの続編に当たるもの。ドラマ版では新人保護司の奮闘記が描かれていたが、本作はその数年後の物語を描いた完全オリジナルストーリーだ。映画『二重生活』や『あゝ、荒野』などを手掛けた岸善幸監督(58才)がメガホンを取り、主演の有村とともにドラマ版から続投。大スクリーンで観るべき見応えのある作品に仕上げている。

 物語のあらすじはこうだ。アルバイトで生計を立てながら保護司として “保護観察対象者=前科者”たちの社会復帰をサポートする阿川佳代(有村架純)は、困難もありつつも充実した日々を過ごしていた。そんなある日、殺人の罪で服役していた工藤誠(森田剛)を担当することに。物静かで真面目な工藤に真剣に向き合い支えるが、保護観察終了の最後の面接に工藤は現れず、社員登用が内定している自動車修理工場からも姿を消してしまう。時を同じくして連続殺傷事件が発生し、その容疑者として工藤が捜査線上にあがることになる。

 映画版からの参戦組である磯村勇斗(29才)、マキタスポーツ(52才)は工藤を追う刑事コンビに扮し、若葉竜也(32才)演じるミステリアスな若者は、物語の展開に大きな影響を与える存在を担う。磯村演じる刑事・滝本は阿川の幼馴染みでもあるが、犯罪者を追う滝本と犯罪者を更生させる阿川という対局にある2人の関係性が本作のテーマに深みを持たせている。ドラマ版の続投組である北村有起哉(47才)、石橋静河(27才)、宇野祥平(44才)らが、阿川と親しい間柄にある人々を演じ作品に柔らかさを与えている。この中心に立ち、有村とともに“もう1人の主人公”を演じ上げているのが森田剛だ。

 森田演じる工藤を“もう1人の主人公”と称したのは、彼が物語の軸となる“前科者”であり、本作のタイトルロールだからだ。工藤は罪を犯した男だが、ただ“悪”として描かれているわけではない。殺人罪で服役したものの、職場の上司からの酷いいじめに耐えかねた末に事件を起こしてしまったという背景がある。また彼は、幼い頃に義父の凄惨な暴力が原因で家族がバラバラになってしまったという過去も持つ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン