スポーツ

コロナの猛威にさらされる相撲界 資金調達のために「引退相撲」を強行

御嶽海(右)や元・栃煌山も感染が判明(時事通信フォト)

御嶽海(右)や元・栃煌山も感染が判明(時事通信フォト)

 相撲界がコロナの猛威に晒されている。横綱・照ノ富士や新大関・御嶽海が感染し、相撲協会は2月9日に幕下以下の力士らも含めた初場所後の累積感染者数を252人と発表。日本大相撲トーナメント(2月6日)、NHK福祉大相撲(同11日)が相次いで中止となった。

 そうしたなかでも開催されているのが「引退相撲」だ。1月末から2月中旬にかけ、元大関・豪栄道(武隈親方)、元関脇・栃煌山(清見潟親方)、元関脇・嘉風(中村親方)、元前頭・誉富士(楯山親方)の襲名披露が次々と行なわれた。

「どの引退相撲の断髪式でも300人近くが土俵上でハサミを入れた。一般参加者はもちろん関取や親方衆も土俵に上がる直前までマスクをしていたが、そうしたなかで関取や親方への感染は相次いだ。たとえば1月31日に感染が確認された御嶽海は29、30日に同じ一門の元・豪栄道と元・栃煌山の引退相撲に参加。2日間とも断髪式ではさみを入れ、照ノ富士とは相撲を取った。その照ノ富士や元・栃煌山も2月4日に感染が発表されたが、その後も元・嘉風や元・誉富士の引退相撲は予定通り強行されたのです」(協会関係者)

 背景にはコロナで引退相撲の延期が相次いだことがありそうだ。2019年7月場所で引退した元関脇・安美錦(安治川親方)は2020年10月の予定だった引退相撲が一度は2021年5月に延期になり、さらに今年5月に“再延期”された。告知ポスターやパンフレットの刷り直しなど、負担も大きくなる。

「また、元・嘉風は所属する尾車部屋が3月に閉鎖となり二所ノ関部屋に移籍する。遅れると師匠の尾車親方(元大関・琴風)に止め鋏を入れてもらえなくなる事情があった。元・豪栄道は2月に境川部屋からの独立が決まっていた。引退相撲の祝儀は引退後の生活費や部屋を興す資金となるため、どの親方も早くやりたいのです」(同前)

 他にも元関脇・豊ノ島(井筒親方)、元大関・琴奨菊(秀ノ山親方)、元横綱・鶴竜(鶴竜親方)、元横綱・白鵬(間垣親方)ら、10人の親方が髷をつけたまま引退相撲の日程待ちの行列を作っている。

 初場所後の感染者に重症者はいないとの発表だったが、糖尿病や高血圧の持病を抱える力士や親方は多い。その重症化リスクのなかでも開催されるのは、やむにやまれぬ事情がありそうだ。

※週刊ポスト2022年3月11日号

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン