麻雀などのゲームが認知機能の低下予防に(写真/共同通信社)

麻雀などのゲームが認知機能の低下予防に(写真/共同通信社)

高齢者ほど脳が活性化

 では、パチンコやパチスロが認知機能の低下予防に役立ち得るのはなぜか。

「台湾の介護予防施設にパチンコ・パチスロを持ち込み調べたところ、認知機能の改善がみられました。パチンコ・パチスロを遊ぶ頻度が多いことと認知機能が高いことが関連するという報告もあります。ワクワクしながら遊ぶことが大切なのに加え、玉を目で追い、指先の調整を行なうなど手と頭を同時に使う点も脳の活性化につながっているのかもしれません」

 パチスロでは遊技中の脳活動を調べた研究もあるという。

「レバーを叩き、目押しをして図柄を揃えるという作業が加わることで、空間認知に関わる頭頂葉と左側の前頭葉が活性化します。また、知的機能の中核を担う前頭葉、頭頂葉のほか、やる気や意欲に関わる線条体が、高齢者ほど活性化されると報告されています。

 さらに、中高年を対象に4週間、パチスロ遊技中の脳活動を近赤外線分光法装置で調べると、前頭葉や頭頂葉の活動が増す一方で、ストレス活動を高めやすい右下前頭回の活動低下が確認できた。これは、パチスロが認知トレーニングになる上にストレスを低下する可能性を示しています」

 線条体は加齢に伴い衰えるが、楽しみや幸福感を得ることで活性化する。

「それにより高齢者の脳や心身に好影響をもたらすと考えられます」

 実際に、麻雀やパチンコ・パチスロ台を認知症予防やリハビリに導入する介護施設もある。

※週刊ポスト2022年3月11日号

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