スポーツ

蛯名正義調教師が厩舎開業 「丈夫な馬をつくる」考え方の継承を誓う

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、3月1日に開業した「蛯名正義厩舎」への思いをお届けする。

 * * *
 競馬界では3月に新人騎手がデビュー、新人調教師の厩舎が開業し、70歳になられた調教師の方が2月いっぱいで定年を迎え、馬や人が入れ替わります。春の予感も手伝って、なんとなく浮き足だってしまいそうですが、僕が研修させてもらっている藤沢和雄厩舎では、まったくそういう空気は感じられません。

 あくまでも「馬優先」。今週で解散だという悲壮感もなく、これまで通りに淡々と仕事をしていたスタッフの姿が目に焼き付いています。そこで日々過ごしてきた僕も「さあ、今週が初陣だ」と気負うことなく、馬の様子を見ることに集中しています。

 厩舎の場所も決まり、いまはどうしたら馬にとって心地よい場所になるか、スタッフが仕事をしやすい環境になるかに腐心しています。

 ありがたいことに藤沢和厩舎のスタッフが9人、引き続き僕の厩舎でやってくれることになりました。あと1人は、僕がジョッキーの時にお世話になっていて、やはり今回解散する田中清隆厩舎のスタッフで、以前から開業したら一緒にやりたいと言ってくれていました。調教助手の大江原勝、津曲大祐を始め合計10人の精鋭で頼もしい限りです。

 普通の組織では上に立つ人が変わると、いきなりこれまでのやり方を改めたりすることがあるかもしれないけれど、僕たちは馬という生き物を扱う仕事。その馬に合ったやり方をしなければいけない。志ばかり高くても、馬に無理をさせてしまっては何もなりません。スタッフもみなそれがわかっていますので、自分の色を出すぞ、ということではなく、あくまでこれまでの延長線上でありたいと思います。

 4年近くの技術研修でこの厩舎の馬も人も見てきているので、これ以上のことは何ができるんだろうって思います。藤沢先生と違うものが僕にあるとしたら、ジョッキーとしての感覚ですが、調教など日常のベースは変わりません。「丈夫な馬をつくる」という考え方を継承していかなくてはならないと思っています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン