国内

日本政府が10年ぶりに実施「尖閣諸島の海洋調査」が持つ大きな意義

沖縄県石垣市の海洋調査船から尖閣諸島・魚釣島を望む。追尾してきた中国海警局の公船(写真中央)を海自の巡視船(写真右、左)が「ハの字」に挟むようにしてブロックした

沖縄県石垣市の海洋調査船から尖閣諸島・魚釣島を望む。追尾してきた中国海警局の公船(写真中央)を海自の巡視船(写真右、左)が「ハの字」に挟むようにしてブロックした

 風速20メートル、波高3メートルの荒れ狂う東シナ海に浮かぶ尖閣諸島は、日本の領土でありながら日本人が行くことのできない国境の島である。様々な事情で上陸できない日本領土の島々を撮り続けた報道写真家の山本皓一氏が、国境最前線の今を伝える。

 * * *
 沖縄県石垣市は1月31日から2月1日にかけて、東海大学に委託する形で尖閣諸島周辺の海洋調査を実施した。調査船「望星丸」には中山義隆・石垣市長も乗船。私は過去9回の現地取材経験が認められ、“水先案内人”として特別に同行を許可された。

 尖閣周辺の接続水域では中国海警局の公船2隻が調査船に接近してきたが、中国船の動きを予測察知していた海保の巡視船8隻が調査船の前後左右を完全にガード。上空では海自の哨戒機も状況を監視するなど、調査は滞りなく実施された。

 尖閣諸島は「日本人が行けない日本の島」の象徴的存在である。政府は「尖閣諸島の安全な維持管理」を理由に民間人の島への上陸を認めておらず、それは行政トップの石垣市長も例外ではない。戦前に248人が生活した記録も残る魚釣島だが、戦後、中国が領有権を主張。2012年には当時の民主党政権が魚釣島を国有化したものの、いまも周辺海域を公然と中国船が行き交う「領海侵犯」が常態化している。

 これまで、中国船が出没するたびに「遺憾」を表明することしかできずにいた日本政府だが、今回、海保、海自との連携で海洋調査が10年ぶりに実施されたことは、積極的な実効支配強化の一歩として大きな意義がある。

 調査を担当した山田吉彦・東海大学教授が語る。

「今回の調査は保秘を徹底し、他国に情報が漏れないよう細心の注意を払いました。計画自体は5年以上前から考えており、2021年12月に市議会で予算を確保しました。法と秩序を守れば調査活動を許可するという政府のスタンスは、日本の領土保全戦略の一環として正しいと思いますし、海保、海自の領土防衛能力を示したことの意味は大きいと思います」

 攻めの姿勢で臨む日本の領土防衛が、いま始まろうとしている。

【プロフィール】
山本皓一(やまもと・こういち)/1943年、香川県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。「日本の国境」をテーマに撮影・取材を始め、「国境の島々」をテーマに、北方領土、尖閣諸島、竹島、沖ノ鳥島、南鳥島など全島の上陸取材に成功。2004年、講談社出版文化賞写真賞受賞。『日本人が行けない「日本領土」』『日本の国境を直視する1尖閣諸島』など著書多数。

撮影/山本皓一

※週刊ポスト2022年3月11日号

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン